子宮頸がん(ステージ4)肝転移の現状と治療選択
子宮頸がんは、子宮の入り口にあたる子宮頸部に発生するがんであり、主にヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因とされています。
がん検診の普及により早期発見されるケースも増えていますが、症状が進行してから見つかることも多く、進行がんでは遠隔転移を伴うことがあります。
特にステージ4になると、骨盤外の臓器やリンパ節、さらには肝臓などへの遠隔転移が認められることがあり、治療の難易度が高くなります。
肝転移の症状と特徴
子宮頸がんの肝転移は、血液を介して肝臓にがん細胞が運ばれた結果として起こります。
肝臓は沈黙の臓器とも言われ、初期には症状が現れにくいですが、進行とともにさまざまな体調変化を引き起こすことがあります。
以下に代表的な症状をまとめます。
症状 | 内容 |
---|---|
右上腹部の痛み | 肝臓が腫れることで周囲を圧迫し、痛みが生じます。 |
黄疸 | 胆管が圧迫され、皮膚や眼球が黄色くなることがあります。 |
倦怠感・疲労 | 肝機能の低下により、全身の代謝が乱れやすくなります。 |
食欲不振・体重減少 | 消化機能の低下や全身的な消耗が見られます。 |
標準治療が難しい背景
ステージ4で肝転移がある場合、手術による根治治療は困難とされ、一般的には化学療法が主体となります。
シスプラチンやパクリタキセルなどの薬剤が使用されますが、効果には個人差があり、副作用の影響で治療継続が困難になることもあります。
また、放射線治療は骨盤内への局所照射には有効ですが、肝臓への広範囲照射には限界があります。
補完的治療の重要性
標準治療が難しい場合には、患者様の体力や希望に応じた補完的治療が選択肢となります。
疼痛管理や栄養サポート、心のケアを含めた緩和ケアの導入は、生活の質(QOL)を保つ上で非常に重要です。
また、自由診療の分野では新たな治療法も登場しています。
光免疫療法という選択肢
子宮頸がんの肝転移に対して、標準治療が難しい患者様の中には、光免疫療法を選択肢として検討されるケースもあります。
光免疫療法は、がん細胞に集まる特殊な薬剤を投与し、その薬剤に特定の波長の光を照射することで、がん細胞のみを破壊する治療法です。
正常な肝細胞に与える影響をできる限り抑えながら、がん細胞のみを標的にすることができる点が特徴です。
また、局所的に転移巣が確認され、光が届く範囲にある場合には、体への負担が比較的少ないため、全身状態が不安定な患者様でも検討されることがあります。
ただし、この治療はすべての患者様に適用できるわけではなく、肝転移の範囲、病変の深さ、周囲の組織の状態などを詳しく確認した上で、医師と慎重に相談することが重要です。
詳しくは以下より当院の光免疫療法に関してご確認頂けます。
個別に合った治療方針の選択
治療の選択は、患者様ご本人の希望や生活背景を踏まえた総合的な判断が求められます。
がんの進行状況や身体への負担、副作用のリスクを十分に考慮し、標準治療に加えて補完的治療や緩和ケアを組み合わせることで、QOLの維持を目指すことも大切です。
また、セカンドオピニオンを活用することで、より多角的な視点で治療方針を見直す機会にもつながります。
希望を持って過ごすためには、信頼できる医療チームとともに、自分に合った治療を選び続けることが重要です。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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