咽頭がん(ステージ4)リンパ節転移とは
咽頭がんは、咽頭と呼ばれる喉の奥に発生する悪性腫瘍です。
咽頭は、上咽頭、中咽頭、下咽頭の3つの部位に分けられ、それぞれに特徴があります。
がんが発生した場所や広がり方によって、治療法や経過も異なります。
ステージ4とは、がんが原発部位を超えて、周囲の組織や臓器、または遠くのリンパ節に転移している状態を指します。
とくに、頸部のリンパ節にがんが広がっている場合、ステージ4と診断されることが多くなります。
この段階では、根治的な手術が困難なこともあり、複数の治療手段を組み合わせた対応が求められます。
リンパ節転移の広がりと影響
咽頭がんは、リンパの流れを通じて早期に周囲のリンパ節へ転移する傾向があります。
とくに首の周囲にあるリンパ節に転移が起きやすく、しこりとして自覚されることもあります。
以下の部位への転移が確認されることがあります。
リンパ節の部位 | 特徴 |
---|---|
内頸静脈周囲リンパ節 | 頸部リンパ節の中でも転移頻度が高く、複数個所に及ぶことがあります。 |
顎下リンパ節 | 中咽頭がんに多く、口蓋扁桃や舌根部からの転移が見られます。 |
鎖骨上窩リンパ節 | 下咽頭がんに関連し、遠隔転移との関係性も指摘されています。 |
リンパ節転移が多数存在する場合や、大きく腫大している場合、治療に対する反応性や再発リスクに影響する可能性があります。
また、リンパ節の被膜を超えてがんが浸潤する「被膜外浸潤」がある場合は、予後への影響が大きくなるとされています。
ステージ4の治療における課題
ステージ4の咽頭がんに対しては、通常、手術、放射線治療、化学療法などを組み合わせた集学的治療が検討されます。
しかし、がんの進行状況や患者様の体力、機能面の制約により、治療が難しくなる場合もあります。
以下のような課題が挙げられます。
課題 | 内容 |
---|---|
切除困難な範囲への浸潤 | がんが神経や血管など重要な構造に及んでいると、手術による切除が難しくなります。 |
術後の機能障害の懸念 | 発声や嚥下など、生活の質に直結する機能が損なわれるおそれがあります。 |
全身状態とのバランス | 高齢や併存疾患がある場合、強い治療に耐えることが難しいケースもあります。 |
そのため、治療方針はがんの制御だけでなく、日常生活への影響や希望を考慮したうえで、慎重に決定することが望まれます。
考慮される治療法
咽頭がんのステージ4に対しては、以下のような治療が検討されます。
治療法 | 概要 |
---|---|
放射線治療 | 局所制御を目的とし、単独または化学療法と併用されることがあります。 |
化学療法 | シスプラチンなどを用いて、全身のがん細胞に作用します。 |
手術療法 | 切除可能な場合に実施されますが、機能温存とのバランスが重要です。 |
免疫チェックポイント阻害薬 | がん免疫を活性化させる新たな治療法で、一部で効果が期待されています。 |
これらの治療法をどのように組み合わせるかは、患者様一人ひとりの状態によって異なります。
選択肢としての光免疫療法
この治療は、がん細胞に集まる特殊な薬剤を体内に投与し、その後、特定の波長の光を照射することで、がん細胞を破壊するという仕組みです。
光免疫療法は、がん細胞だけを標的とするため、正常な組織への影響が少ないとされています。
そのため、副作用が比較的軽度で済む可能性があります。
ただし、適応には一定の条件があり、すべての患者様が対象になるわけではありません。
以下より当院の光免疫療法に関する情報をご確認頂けます。
まとめ
咽頭がんのステージ4でリンパ節転移が認められる場合、がんの進行は高度であり、治療方針の選定が重要となります。
手術や放射線、化学療法を組み合わせた治療により、がんの制御を目指すことが検討されます。
一方で、患者様の生活の質を維持する視点や、治療に伴う機能障害のリスクにも配慮が必要です。
選択肢として、光免疫療法のような治療も存在しますが、導入にあたっては専門医との十分な相談が不可欠です。
ご本人やご家族の価値観を尊重しながら、最適な治療方針を一緒に考えていくことが大切です。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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