膀胱がん(ステージ4)リンパ節転移とは
膀胱がんは、尿を一時的に蓄える膀胱に発生する悪性腫瘍であり、男性に多く見られる傾向があります。
早期には血尿や頻尿といった症状が現れることがありますが、進行がんではこれらの症状が目立たない場合もあり、発見が遅れることがあります。
ステージ4とは、がんが膀胱壁を越えて周囲の組織や遠隔臓器、リンパ節にまで広がっている状態を指します。
特にリンパ節転移が認められる場合、がん細胞がリンパの流れに乗って全身へ拡がる可能性があることを意味します。
この段階では、根治を目的とした外科的手術が適応外となることもあり、治療選択に慎重な判断が求められます。
リンパ節転移の広がりと影響
膀胱がんのリンパ節転移は、骨盤内のリンパ節から始まり、進行するにつれてより上位のリンパ節へ波及することがあります。
特に以下のリンパ節群が関与しやすいと考えられています。
リンパ節の名称 | 位置と特徴 |
---|---|
閉鎖リンパ節 | 骨盤内に位置し、膀胱の近傍にある。 |
内腸骨リンパ節 | 骨盤側壁付近にあり、尿路系のがんで転移しやすい。 |
外腸骨リンパ節 | 腹部大動脈の近くに広がると遠隔転移とされる。 |
リンパ節への転移が進むと、がんの制御が難しくなり、局所再発や他臓器への転移のリスクも高まります。
また、転移リンパ節の腫大により、周囲の神経や血管、尿管が圧迫されることで、浮腫や痛み、腎機能の低下を招くこともあります。
ステージ4での標準治療と課題
膀胱がんがステージ4に進行した場合、一般的には全身的な治療が主軸となります。
主な治療方法は次の通りです。
治療法 | 内容 |
---|---|
化学療法 | シスプラチンを含む併用療法(GC療法など)により、がんの進行抑制を目指す。 |
免疫チェックポイント阻害薬 | PD-L1やPD-1を標的とした薬剤を用い、がん細胞に対する免疫反応を高める。 |
放射線治療 | 局所の症状緩和や制御を目的に照射を行う。 |
ただし、これらの治療がすべての患者様に適応できるわけではありません。
高齢や腎機能障害によりシスプラチンが使用できない場合や、副作用の影響が大きい場合、他の治療選択が求められます。
また、免疫療法も効果が出るまでに時間がかかるケースや、効果を実感しにくい場合もあります。
生活の質を重視した治療方針
治癒を前提とした治療が難しいケースでは、延命と同時に生活の質(QOL)の維持を重視した治療が必要になります。
排尿障害や痛みに対する対応、精神的なサポートなども含め、患者様の希望を尊重したケアが重要です。
そのため、医師との十分な対話のもとで、過度な負担を避ける治療方針を柔軟に設計することが望まれます。
緩和医療の導入や在宅医療との連携を通じて、安心して日常生活を送れるよう支援が行われることもあります。
選択肢としての光免疫療法
この治療は、がん細胞に集まる特殊な薬剤を体内に投与し、その後、特定の波長の光を照射することで、がん細胞を破壊するという仕組みです。
光免疫療法は、がん細胞だけを標的とするため、正常な組織への影響が少ないとされています。
そのため、副作用が比較的軽度で済む可能性があります。
ただし、適応には一定の条件があり、すべての患者様が対象になるわけではありません。
以下より当院の光免疫療法に関する情報をご確認頂けます。
まとめ
膀胱がんがステージ4に達し、リンパ節への転移が認められる場合には、治療の選択肢が限られる傾向にあります。
全身化学療法や免疫療法が基本となりますが、副作用や体力的な問題により、すべての患者様に適した方法ではないこともあります。
そのような中で、生活の質を重視した治療や選択肢も視野に入れながら、個々の状況に応じた柔軟な対応が求められます。
医療者と十分に相談を重ね、納得のいく治療方針を見つけていくことが大切です。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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