膵臓がん化学療法の総合情報「現代治療の深層に迫る」

膵臓がん化学療法の総合情報「現代治療の深層に迫る」

膵臓がん化学療法の概要

膵臓がんは、消化器系がんの中でも特に難治性が高く、5年生存率が全体で約10%程度と極めて低い予後不良ながんとして知られています。
膵臓がんの進行速度の速さと早期発見の難しさから、診断時の多くが進行ステージであり、化学療法が治療の柱となります。

化学療法は、抗がん剤を全身に投与し、がん細胞のDNA合成や細胞分裂を阻害することで腫瘍の増殖を抑え、縮小を目指す系統的治療となります。
手術適応外の切除不能例や術後再発予防、転移制御に不可欠であり、個別化されたレジメンが推奨されます。

近年、FOLFIRINOXやゲムシタビン+ナブパクリタキセル(GnP)などの多剤併用療法の登場により、生存期間が従来のゲムシタビン単独療法(中央生存期間約6-7ヶ月)から11-15ヶ月程度に延長されるケースが増え、コンバージョン手術(化学療法後の切除可能化)も現実的な選択肢となっています。

主な化学療法薬剤とその作用機序

膵臓がんの化学療法は、患者様の全身状態(PS)や年齢、遺伝子変異を考慮した多様なレジメンが用いられます。
日本膵臓学会ガイドライン2025年版では、転移性膵がんの一次治療としてFOLFIRINOX(フルオロウラシル、イリノテカン、オキサリプラチン、レボホリナートの併用)やGnPが強く推奨され、modified FOLFIRINOX(用量調整版)で副作用を軽減したプロトコルが標準化されています。

ジェムシタビン(Gemcitabine): 核酸アナログとしてDNA合成阻害。単独療法では基盤薬だが、現在は併用が主流。
FOLFIRINOX療法: DNA損傷(オキサリプラチン)、トポイソメラーゼ阻害(イリノテカン)、DNA合成阻害(フルオロウラシル)の多角的攻撃。奏効率30%前後、中央生存期間11.1ヶ月以上。
GnP療法(ゲムシタビン+ナブパクリタキセル): ナブパクリタキセルが腫瘍間質への薬剤デリバリーを向上。中央生存期間8.5-12ヶ月、末梢神経障害が特徴的。

二次治療では、ナノリポソーム化イリノテカン(ナリリノテカン)併用レジメンや、BRCA変異例でのPARP阻害剤(オラパリブ)が追加され、遺伝子パネル検査に基づくプレシジョン・メディシンが進展しています。

化学療法の適応と効果

適応はステージ、PS、臓器機能により決定されます。
切除可能例では術前・術後補助としてGnPやS-1が、局所進行切除不能例ではFOLFIRINOX/GnPが一次選択となります。
高齢者やPS2以上ではゲムシタビン単独やS-1が考慮されます。
効果は個人差が大きいですが、FOLFIRINOXで奏効率25-30%、GnPで20-30%といわれています。
遺伝子異常(KRAS G12D/Vなど)対象の分子標的薬開発も進行中ですが、2025年現在は化学療法が主力です。

化学療法の副作用

副作用は正常細胞への影響が原因となり、グレード3以上が20-50%で発生します。
FOLFIRINOXでは好中球減少(感染リスク)、下痢、末梢神経障害、疲労が頻発します。
GnPでは末梢神経障害、骨髄抑制、脱毛が目立ちます。

管理の深層: 予防的G-CSF投与、制吐剤(NK1/5-HT3阻害剤)、神経障害対策(デュロキセチン、プレガバリン)、栄養サポートが標準。静脈血栓塞栓症予防や悪液質対策もガイドラインで推奨されます。重症例では用量調整や休薬で継続可能率80%以上。

サポーティブケアの進化により、QOL維持しながら長期投与が可能となり、生存延長に寄与しています。

光免疫療法と膵臓がん

光免疫療法の概要

光免疫療法は、光に反応する薬剤を投与し、がん細胞に集積させた後、特定の波長の光を照射することでがん細胞を選択的に破壊する治療法です。
当院では、この光免疫療法を自由診療として提供しており、薬剤を点滴投与後、レーザー光で活性酸素を発生させ、がん細胞を攻撃します。
免疫応答の活性化も期待され、正常細胞への影響を最小限に抑えます

光免疫療法のメリットと可能性

この治療では、正常な細胞への影響を抑えつつ、がん細胞のみを狙い撃ちすることが可能となります。
これにより、従来の化学療法に比べて副作用が少なく(主に照射部位の軽度疼痛や光過敏症)、患者様のQOの向上が期待されます。
高齢者や化学療法耐性例、末期がんにも適応しやすく、外来通院で実施可能です。

また、化学療法との併用によって相乗効果を期待でき、腫瘍縮小や免疫強化、耐性克服に寄与します。
以下より、当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。

まとめ

膵臓がんの化学療法は、FOLFIRINOXやGnPを中心とした多剤併用が現代の標準治療として生存期間の延長を実現していますが、副作用の管理が課題となります。
また、当院の光免疫療法は、副作用の少なさと選択性で化学療法の補完として有望であり、併用により相乗効果が期待されます。
患者様の状態に合わせた個別化治療と支持療法の徹底が、予後改善とQOL向上の鍵となります。
膵臓がんは、早期相談で最適な選択をすることが重要となります。

当院の光免疫療法詳細はこちら

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