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中咽頭について
咽頭は、飲食物や空気が通る鼻の奥から食道までの部位であり、筋肉と粘膜で構成されているおよそ13cmの長さの管です。
咽頭は上からそれぞれ、『上咽頭』、『中咽頭』、『下咽頭』の3つの部位に分かれています。 中咽頭は、咽頭の管の中間部分で、口の上部の奥にある柔らかい部分の軟口蓋、口の奥のほうの突き当たりの壁、口蓋扁桃、舌の奥の付け根部分である舌根が含まれます。
中咽頭では、鼻や口からの呼吸による空気と、口から入る飲食物の両方が通ります。飲食物を飲み込むときには軟口蓋が上がり、鼻腔への通り道をふさぎます。
それによって飲食物が鼻に流れないようにしつつ、下咽頭へ送ることができます。
中咽頭がんとは
中咽頭にできたがんを中咽頭がんといい、中咽頭がんは頭頸部がんの1つです。
咽頭の周りには多くのリンパ節があるため、頸部(首)のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。
がんの発見時に頸部リンパ節への転移が見つかることも珍しくありません。日本では、あまり発症が見られず、年間1,000~2,000人程度に発症する比較的稀ながんとされています。
また、世界的にはインド、東南アジア、フランス、イタリア、ロシアなどに多く発生する傾向にあるようです。
中咽頭がんの原因
- a)喫煙や飲酒
口腔がんと同様に、喫煙や飲酒によるがん化が以前は多かったのですが、現在はb)のような理由も増えてきています。
- b)HPV(ヒトパピローマウイルス)/li>
腫瘍が鼻の後ろの孔に近い所に生じると、鼻まわりの症状がみられるようになります。HPVは子宮頸がんの原因としてよく知られているウイルスです。HPVが関連するようになった背景としましては、オーラルセックス等の性行為の多様化で、これにより中咽頭がんが増加しています。
HPVが中咽頭の粘膜に感染することで、その部位にがんを発生させています。HPV感染による中咽頭がんは、女性にも男性にも発症し、比較的若い年代でも発症します。また、喫煙や飲酒による中咽頭がんとHPVの感染による中咽頭がんを比較すると、HPVで発症した中咽頭がんの方が、予後がよいと判明しています。
中咽頭がんの症状
- 喉がしみる、飲み込むときの喉への違和感 自覚症状がないことがほとんどですが、初期段階では、喉がしみる等の症状がみられます。
- 咽頭痛、嚥下痛 がんが進行すると、咽頭部にはっきりとした違和感や症状がみられるようになります。
- 喉の腫れ 首のリンパ節へ転移すると、喉が赤く腫れ上がります。
中咽頭がんの検査
触診、喉頭鏡検査や内視鏡検査で咽頭を確認し、がんが疑われる場合は、組織を採取して詳しく調べます。
また、がんの大きさ、リンパ節や他臓器への転移などを確認するために、CT検査やMRI検査、超音波検査、PET検査などを行います。
- 触診
- 喉頭鏡検査
- 間接喉頭鏡検査
- 内視鏡検査
- 生検
- CT検査
- MRI検査
- 超音波検査
- PET検査
- 腫瘍マーカー検査
中咽頭がんの治療
1.外科療法
中咽頭がんにおける外科療法は、がんとリンパ節の切除が中心です。
切除した部位の機能が損失してしまう場合は、移植手術によって体の別の組織を切除し、更にその部分を用いて再建する手術を行い、発声機能等をできるだけ保つようにします。
- 中咽頭がんに対する手術
- 頸部郭清術
- 救済手術
2.内視鏡治療
中咽頭がんでは、上皮内がんが初期段階であれば、胃や大腸と同じように、内視鏡を用いて切除をすることもあります。 ただし、中咽頭がんは進行がんとして発見されるケースが多いため、内視鏡手術が可能な場合は限られます。
3.放射線治療
中咽頭がんの治療において、外部照射を、大体6~7週間で30回程度行います。 また、上咽頭がんの治療では、放射線治療と薬物療法を併用する化学放射線療法を行うこともあります。 薬物を併用することで放射線治療の効果を高めることができます。
頸部リンパ節への転移がみられ、放射線治療での治療が困難なときは、頸部郭清術を先に行なってから放射線治療を行う場合もあります。
4.薬物療法
上咽頭がんの薬物療法には、『化学放射線療法』以外に、『導入化学療法』、『術後補助療法』、『再発や遠隔転移に対する薬物療法』があります。
- 化学放射線療法
放射線治療と併用して薬物療法(化学療法)を行う方法です。 一般的にシスプラチンが用いられます。 薬物療法と放射線治療を併用することで治療効果を高められます(ただし飲み込みにくさ等の副作用あり)。 また、シスプラチン以外では、カルボプラチンや分子標的薬のセツキシマブを放射線治療と併用することもあります。
- シスプラチン
- カルボプラチン
- セツキシマブ
- 導入化学療法
化学放射線療法を行うときに、その前に行う薬物療法です。
導入化学療法においては、シスプラチンとフルオロウラシル( 5-FU)を併用するPF療法、PF療法にドセタキセルを加えたTPF療法があります。
- シスプラチン+フルオロウラシル(5-FU)
- PF療法+ドセタキセル
- 術後補助療法
術後、がんが取り切れなかった場合や、再発の可能性が高い場合に行う薬物療法を指します。 術後補助療法では、一般的にシスプラチンが用いられています。
- シスプラチン
以下に一般的な光免疫療法の解説をしております。
当院の光免疫療法の解説は、こちらからご確認いただけます。
当院の中咽頭がん治療法
当院へのご相談の流れ
ご予約
中咽頭がん治療に関する相談の前にまずはお電話かメールにてご予約をお願い致します。
お急ぎの場合はお電話頂けましたら、スムーズの場合もございますので、お急ぎの方はお電話ください。
ご来院
ご来院頂きましたら、お近くの係員にお声掛けください。
予約時間とお前をお伝え頂けますと、スムーズにご案内可能です。
また当院までのアクセスが分からない場合もお気軽にお問い合わせください。
受付
受付にて問診票をお渡し致しますので、中咽頭がんに関して現状の不安点や症状などなるべく詳細にご記入ください。
ご不明な点はどのような事でもお声掛けください。
例
・喉がしみる、飲み込むときの喉への違和感
・咽頭痛、嚥下痛
・喉の腫れ
など
インフォームドコンセント
中咽頭がんに関する問診票を元に、インフォームドコンセントを行います。その際に適切な治療方法や、費用など詳しくご説明させて頂きます。
ご納得出来るまで些細な事でもご相談ください。
また当院だけでは不安な場合、他院へセンカンドオピニオンをご検討頂く事も可能です。
同意書の記入
中咽頭がんの治療方法や費用面などご納得頂けましたら、同意書を記入して頂きます。
今後の上咽頭がん治療計画について
当院では入院ではなく、通院で中咽頭がん治療を行います。
その為、仕事を諦める事なく治療に専念して頂く事が可能です。
患者様のライフスタイルになるべく沿えるように中咽頭がんの治療計画を立案して参ります。
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【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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