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胃とは
胃は袋状の器官で、みぞおちの裏のあたりにあります。胃の入り口を噴門部(ふんもんぶ)といい、中心の部分を胃体部といいます。胃の出口は幽門部(ゆうもんぶ)と呼ばれ、十二指腸へつながっています。胃の近くにある血管の周りにはリンパ球が多く集まるリンパ節があります。胃の壁は、内側から、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜と呼ばれる層になっています。
胃がんとは
胃がんは、胃壁の一番内側にある胃液等を分泌する粘膜(M)から発生するがんで、日本では、死亡数の多いがんの一つです。少し細かく言えば胃の壁の一番内側を覆う粘膜の細胞が、がん細胞化し、それらが無秩序に増えていくことで発生します。最初は細胞単位で発生するので、サイズが小さければ発見できません。やがて時間が経つにつれて、粘膜下層(SM)、漿膜下層(SS)、筋層(MP)、漿膜(SE)へとがんが進行します。胃がんの拡がりにおいて、粘膜下層(SM)までのものを早期(胃)がんといい、筋層(MP)よりも深くなってしまったものを進行(胃)がんといいます。また胃がんは、がん細胞がリンパ液や血液から離れた臓器にとどまって、増加していき転移が起こることがあります。更に、漿膜(SE)の外側を越えて、腹膜播種が生じることがあります。組織型分類において、胃がんは、大半を腺がんが占めています。また、腺がんは、細胞の特徴から、大きく分化型と未分化型に分けられ、一般的に、分化型は進行が緩やかで、未分化型は進行が速い傾向があるといわれています。スキルス胃がんでは未分化型が多いですが、全ての未分化型の胃がんがスキルス胃がんになるわけでは決してありません。
1.早期がん
早期(胃)がんは、大きく3つのタイプに分けられており、【Ⅰ型:隆起型】、【Ⅱ型:表面型(Ⅱa :表面隆起型 Ⅱb :表面平坦型 Ⅱc:表面陥凹型)】、【Ⅲ型:陥凹型】となっています。また早期(胃)がんは、型に依らず、転移することは少なく、がん細胞は、胃に止まっているか若しくは近くのリンパ節への転移する程度なので外科療法で治せることが殆どです。
2.進行がん
進行(胃)がんは、主に4つの種類に分類でき、1901年にドイツのR・ボールマンによって提唱されました。
- 1型 = 胃の内側に隆起している進行(胃)がん
- 2型 = 潰瘍をつくり、正常細胞との境界が明瞭な進行(胃)がん
- 3型 = 潰瘍形成型でとの境界が不明瞭な進行(胃)がん
- 4型 = 隆起も潰瘍も無く胃液を広く進展している進行(胃)がん
1・2型を限局型、3・4型を浸潤型といいます。また、4型はスキルス胃がん(硬化が ん)と呼ばれ、早期のスキルス胃がんは内視鏡検査で見つけることが難しいことから、症状が現れて見つかったときには、既に進行していることが多く、治りにくいがんとされています。
胃がんの原因
胃がんが発生するのは、長期間、胃の中の環境が悪いことや胃に過度な刺激によって発症するとされており、リスク因子は以下の通りです。また、リスク因子として、強く挙げられるのは、ピロリ菌です。
- 食事塩分の過度な摂取や栄養バランスの偏った食生活
- 喫煙
- ピロリ菌
ピロリ菌がんが進行して食道の壁を越えて、まわりの肺や背骨、動脈を圧迫すると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。ピロリ菌は、人等の胃の中に生息する螺旋型のグラム陰性微好気性細菌で、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori) と正式には呼ばれており、発見される前までは、胃の中において、胃液に含まれる塩酸は強酸性であるため、細菌が生られきない環境だと考えられていましたが、1983年にオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルにより発見された細菌です。ヘリコバクター・ピロリの感染は、胃がんだけではなく、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍等の発症にも繋がるとされています。日本においても、中年層以降では、日本においても、中年層以降では、日本において約7割の方が、世界的にみても半数の方がヘリコバクター・ピロリに感染しており、先進国に多い傾向がみられます。現在の医療では、薬剤によってピロリ菌の除菌が好成績をおさめていますが、胃がんの予防での除菌方法は研究されています。
胃がんの症状
胃がんは、早い段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合があります。また、胃がんは、胃がんであると断定できる症状はなく、あくまで胃がんの疑いのある症状が現れる程度で、胃炎や胃潰瘍の場合でも起こります。
- 腹痛胃がんの中で、1番多くみられる症状です。
- 食べる時に食物がつっかえる感じがんが大きくなるとよく噛んで食べても、食道の内腔が狭っており食べ物がつっかえるような感じます。
- 腫瘤がんが進行して食道の壁を越えて、、まわりの肺や背骨、動脈を圧迫すると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。
胃がんの検査
胃がんの検査は、最初にがんか否かを確定するための検査を行い、そして治療の方針を決定するためにがんの進行度を診断する検査を行います。以下に検査の一例を記載致します。
- 内視鏡検査
- X線検査(バリウム検査)
- 生検
- 病理検査
- 注腸検査
- 審査腹腔鏡
- CT/MRI検査
- PET検査
- 腫瘍マーカー検査
胃がんの治療
1.内視鏡治療(内視鏡的切除)
内視鏡施行の種類は大きく分類すると3種類あり、下記となります。
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
2.外科療法
胃がんの外科療法では、ステージやがんの位置によって変わってきます。遠隔転移がない胃がんで、内視鏡治療が困難であれば、外科療法が推奨されます。外科療法では、がんと胃の一部又は全部取り除きます。
- 胃全摘術
- 幽門側胃切除術
- 幽門保存胃切除
- 噴門側胃切除術
3.化学療法
胃がんは、がんや身体の状態によって、様々な薬剤を単独又は複合して使います。胃がんの化学療法で用いられる薬は、
- ①細胞障害性抗がん薬
- ②分子標的薬
- ③免疫チェックポイント阻害薬
の3種類があります。
①細胞障害性抗がん薬
- TS-1(:ティーエスワン)
- カペシタビン
- シスプラチン
- イリノテカン
- オキサリプラチン
- パクリタキセル
②分子標的薬
胃がんでは、HER2が、がん細胞の増殖に関わっているケースがあります。
- トラスツマブ+細胞障害性抗がん薬:HER2陽性においてHER2タンパク質の働きを抑える
- ラムシルマブ:がん細胞の増殖に関わる別のタンパク質の働きを抑える
③免疫チェックポイント阻害薬
また、胃がんの薬物療法には、「手術によりがんを取りきることが難しい進行・再発胃がんに対する化学療法」と「術後補助化学療法」の2つに大別できます。前者は、化学療法から三次化学療法まで段階があり、まずは一次化学療法から始め、効果が低下した場合や副作用が強く継続が難しい場合には二次、三次と治療を続けていきます。後者は、手術後の患者様の状態やがんの進行度を踏まえて、TS-1のみ又は他の薬と併用する方法を考慮します。
以下に一般的な光免疫療法の解説をしております。
当院の光免疫療法の解説は、こちらからご確認いただけます。
当院の胃がん治療法
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ご予約
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ご来院頂いた際はお近くの係員までお気軽にお声掛けください。その際、ご予約頂いた際のお名前をお聞かせください。
受付
初診時には受付にて問診票をお渡し致します。現在の胃がんの状況または、胃がんに関するご質問などがございましたら、なるべく詳細に記載して頂きますようにお願い致します。
インフォームドコンセント
胃がんに関する問診票を元に医師や関係者により、インフォームドコンセントを行います。現状における胃がん治療方法の選定などを患者様のご意思を反映させながら決めていきます。当クリニックの説明だけでは納得できない場合には、他の病院・クリニックに意見を求める「セカンドオピニオン」もご検討頂けます。
同意書の記入
胃がんにおける治療方法や治療の流れにご納得いただけましたら、同意書を記入して頂きます。治療法によっては、ご希望の場合即日の治療が可能です。
今後の胃がん治療計画について
今後胃がん治療を患者様のライフスタイルとご相談させて頂いた上で決定していきます。治療を行う上で、患者様のペースと病院側のペースで双方納得のいくペースを摺合せ、効果を最大限発揮できるスケジュールを計画していきます。
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【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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