目次
肝臓について
肝臓は腹部の右上にあり右の肋骨に守られるように覆われています。
肝臓は成人で0.8~1.2kgとなっており、体内では最大の臓器です。
肝臓の主な働きは3つあります。
1つ目は、食事から吸収した栄養分 を人体に取り込む際に必要な蛋白の合成・栄養の貯蔵することです。
2つ目は、体内で生成された有害物質や体外から摂取された有害物質を解毒し、排出することです。
3つ目は、脂肪の消化を助ける胆汁の合成と分泌です。
私たちが食事で体内に取り込んだものは胃や腸で吸収されやすいように変容された後に肝臓へ送られます。
肝臓でいろいろな成分に加工されると、動脈を通過し、それを必要な場所に配られていきます。
例えば、糖質は、グリコーゲンとして肝臓に蓄えられ、夜間にエネルギー源として血中に送り出されます。
そして利用されたのちに不要になった老廃物は、静脈を通って肝臓へと戻され、胆汁へ排泄されます。
その老廃物の一部は、再度吸収され、肝臓で再利用されます。このように肝臓は栄養素の生産、リサイクルの中枢となって循環しています。
肝臓がんとは
肝臓がんとは、肝臓にできる悪性の腫瘍の事で五大がんのうちの1つです。
肝臓がんは、最初から、肝臓に発生する『原発性肝がん』と他の臓器に生じたがんから転移してできる『転移性肝がん』とに大きく分けることができます。
原発性肝がんは、肝細胞ががん化してできる肝細胞がん、肝臓内を走る胆管細胞ががん化してできる胆管細胞がん(肝内胆管がん)、そして小児に発生する肝芽腫等があります。
肝臓がんは男性に多い傾向があり、男性の部位別がん死亡数の第3位に入る。病気にかかる割合(罹患率)を年齢別に見ると、男性は45歳、女性は55歳から増加するとされています。 一般的には 「肝がん」というと「肝細胞がん」のことを指します。
また、転移性肝がんは、別部位の原発がんから肝臓への転移したがんなので、その原発がんの病期ではステージⅣに相当すると考えられています。
転移性肝がんのきっかけとなる原発がんの部分は、胃や大腸といった消化器官が殆どです。
肝細胞がんの組織型分類では、高分化、中分化、低分化の3段階に分け、更に未分化がんを区別します。未分化がんや低分化のがんについては、細胞がアクティブに増殖する傾向がみられます。
また、肝細胞がんでは組織型分類の他に、肉眼分類があります。 また、肝機能の評価も非常に重要となっており、以下に記載します。
- C型肝炎における高危険群
C型肝炎は、慢性肝炎から肝硬変へと進行する際に起こる線維化は緩徐進行且つ段階的であり、線維化の進行と並行して発がん率が上がることが判明しています。線維化ステージ(線維化の程度)は新犬山分類(F0~F4まで分類)が用いられ、F0は線維化なし、F1~3が慢性肝炎、F4が肝硬変となっています。F0~F4の診断は、超音波下で細い針を用いて肝臓の一部の組織を採取し、病理学的検査が行われます。
また簡便な診断方法として、血液検査での血小板の数が肝臓の線維化と相関することが判明しており、血小板の数が18万前後ならばF1、13万以下ならばF3、10万以下になるとF4と推定されます。 今後10年間での発がんする確率は、F1:約5 %未満、F2:約2割、F3:約5割、F4:約7割と考えられています。
- B型肝炎における高危険群
B型慢性肝炎も肝硬変になると10年間でおよそ5割での発がん率がみられます。C型に比べて、若い年代で線維化が進行していなくても発がんするケースがあるので要注意です。肝細胞がんを発見するための検査手順は二段階になっています。第一段階は肝細胞がんになりやすい人を発見するための検査で、第二段階は肝細胞がんの診断と進行度を確定する検査です。
第一段階の検査には、肝機能やウイルス性肝炎に関わる血液検査等があります。これらの検査結果から精密検査が必要だと診断された場合には、血液検査での腫瘍マーカー(AFP、AFP-L3分画、PIVKA-II)のチェック、腹部造影超音波検査、CTスキャン、MRI(特にGd-EOB-MRI)等の画像検査を行います。
肝細胞がんの特徴として、初期段階では正常肝臓と同様、肝動脈と門脈による二重の血流支配を受けていますが、その進行とともに動脈のみから支配を受けるようになり、血管増生に富む腫瘍となることです。肝細胞がんの診断にはこれらの血流支配の特殊性が考慮されます。
肝臓がんの原因
- 肝炎ウイルス
日本人において肝細胞がんが発生する主な要因として、多くが慢性肝炎または肝硬変のある肝臓に発生するといわれており、およそ9割といわれています。
具体的にいえば、B型肝炎ウイルス(HBVまたはC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染によるもので、その内訳はC型肝炎ウイルス(HCV)が約7割に対し、B型肝炎ウイルス(HBV)が約2割とされています。
肝炎ウイルスが肝臓に持続的に感染することで肝炎(慢性肝炎)が起こってしまい、肝細胞の正常な細胞が死滅と再生を長期で繰り返し、それに伴い線維化の過程でがん遺伝子やがん抑制遺伝子の影響を受けて、、肝細胞がんになると考えられています。
また、A型肝炎は肝細胞がんにつながることはありません。
- アルコール摂取
多量且つ長期のアルコール摂取により肝細胞がダメージを受けてしまい、その修復過程において遺伝子に傷が入ることが発がんするきっかけとなります。
- NASH
近年増加傾向にあるのが、アルコールの摂取が無いにも関わらず脂肪肝から脂肪肝炎を生じる(非アルコール性脂肪肝炎NASH(ナッシュ):Non-alcoholic steatohepatitis)過程で肝細胞がんが発生するというもので、こちらは詳しい理由は現在解明されていません。
- その他
ウイルス感染以外の要因としては、喫煙、食事性のアフラトキシン(カビから発生する毒素の一種)、肥満等があります。
肝臓がんの症状
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、炎症やがんがあっても初期段階では自覚症状がほとんどありません。
肝臓という臓器は、一部に病変が生じてしまい機能低下が起こってしまったとしても、それを補う予備機能を有しているため、一般的に肝細胞がんがある程度大きくなるまで気づかないことが殆どなのです。
それゆえ、症状が現れたときには、もう手術の対象にならない状態だったということもあります。
- おなかのしこり、圧迫感 がんが非常に大きくなった際に、これらの症状がみられます。
- 黄疸、肝不全症状等 肝がんが発育してしまい、肝組織が正常に機能しなくなると腹水による腹部膨満等の症状が現れます。
- くも状血管腫 肝がんは肝硬変からなりやすいので、肝硬変でみられる症状がみられた際は、要注意です。
肝臓がんの検査
まず肝細胞がんの検査では、超音波検査や、CT・MRI検査の画像検査と、腫瘍マーカー検査を合わせて行われます。
また、肝細胞がんとその他のがん、そして悪性か良性かの区別をするために針生検を行います。
- 超音波検査
- CT/MRI検査
- 腫瘍マーカー検査
肝臓がんの治療
1.外科療法
手術を行うかどうかは、Child-Pugh分類がAまたはBで、肝障害度に基づく肝機能の評価がよい場合、切除後に肝臓の量をどれだけ残せるかによって判断します。
また、肝硬変の程度がChild-Pugh分類Cでは肝移植が勧められています。
- 肝切除:Child-Pugh分類AorB
- 肝移植:Child-Pugh分類C
2.穿刺局所療法
穿刺局所療法は、手術と比べると体への負担の少ないことが特徴です。Child-Pugh分類のAもしくはBのうち、がんの大きさが3cm以下で、尚且つ3個以下の場合に行われることがあります。 ラジオ波焼灼療法が最も推奨されています。
- ラジオ波焼灼療法(RFA)
- 経皮的エタノール注入(PEI)
- 経皮的マイクロ波凝固療法(PMCT)
3.塞栓療法
CT画像で体の中を透かし,見ながらカテーテルを挿入し、標的となるがんの治療を行います。
Child-Pugh分類のAまたはBにおいて、大きさが3cmを超えた2~3個のがん、また大きさに関わらず4個以上のがんがある場合に行われることがあります。
近年、肝細胞がんにおいて、肝動脈化学塞栓療法(TACE)が主流になりつつあります。
- 肝動脈化学塞栓療法(TACE)
- 肝動脈塞栓療法(TAE)
- 肝動注化学療法(TAI)
4.化学療法
肝細胞がんの薬物療法では、分子標的薬による治療(分子標的治療)が基本です。
分子標的治療
- 1次治療
- ソラフェニブ
- レンバチニブ
- 2次治療
- レゴラフェニブ
ソラフェニブによる治療後にがんが進行してしまった場合、副作用などの問題をクリアし、Child-Pugh分類のAに当てはまるときに2次治療薬に用いられます。
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当院では入院ではなく、通院で肝臓がん治療を行います。
その為、仕事を諦める事なく治療に専念して頂く事が可能です。
患者様のライフスタイルになるべく沿えるように肝臓がんの治療計画を立案して参ります。
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【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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