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前立腺がん(ステージ4)で肺転移があるとは
前立腺がんは男性に多いがんであり、早期であれば経過がゆるやかなこともあります。
しかし、ステージ4になるとがんは前立腺の外に広がり、骨やリンパ節、肺などの遠隔臓器へ転移している可能性があります。
肺への転移は比較的少ないとされますが、全身に病変が及ぶ可能性がある状態と考えられています。
肺転移がある場合でも症状がないことも多く、検査中に偶然見つかることもあります。
咳や息切れ、胸の違和感がある場合には、呼吸器疾患と区別するための評価も重要です。
肺転移の診断に用いられる検査
肺転移を評価する際には、複数の検査が組み合わされて行われます。
検査方法 | 目的 |
---|---|
胸部CT | 肺の病変の位置や数を詳細に確認します |
PET-CT | 全身の代謝活性を画像で可視化し、転移の有無を調べます |
PSA(前立腺特異抗原) | 前立腺がんの活動性を評価する指標のひとつです |
骨シンチグラフィー | 骨への転移の有無を確認します |
肺転移を伴う前立腺がんの治療方針
肺転移がある場合、全身的な治療が検討されることが多いです。
患者様の状態や治療歴を踏まえ、慎重に治療方針が選ばれます。
治療法 | 概要 |
---|---|
ホルモン療法(ADT) | 男性ホルモンの分泌を抑えることでがんの進行を緩やかにすることを目指します |
抗アンドロゲン薬 | ホルモン療法と併用されることが多く、受容体レベルでの抑制を図ります |
化学療法 | がんの進行が進んだ場合やホルモン療法の効果が薄れてきた場合に検討されます |
放射線療法 | 痛みの緩和や局所病変に対する対応として行われることがあります |
肺転移に対する局所的対応
肺転移が限られた部位にとどまっている場合には、定位放射線照射(SBRT)が考慮されることもあります。
ただし、外科的切除が行われることは少なく、基本的には全身療法を中心とした対応が選ばれます。
選択肢としての光免疫療法
一部の医療機関では、治療選択肢のひとつとして光免疫療法を導入している場合もあります。
この治療は、がん細胞に集まりやすい性質を持つ薬剤と、特定の光を組み合わせることで、選択的にがん細胞へ作用させることを目的としています。
正常な組織への影響を抑えながら、がん細胞のみに効果を届けることが期待されています。
ただし、すべての患者様に適応されるわけではなく、対応している医療機関も限られているため、詳しくは医師にご相談いただくことが推奨されます。
以下より当院の光免疫療法に関する情報をご確認いただけます。
生活支援と緩和的ケアの視点
肺転移を含む進行がんでは、治療と並行して生活の質を保つことも大切です。
以下のような支援が行われる場合があります。
支援内容 | 目的 |
---|---|
疼痛緩和 | 痛みの軽減を図り、日常生活を維持するための対策が講じられます |
呼吸ケア | 肺機能を補助する指導や治療が行われます |
栄養サポート | 治療に伴う体力低下を防ぐため、適切な食事のアドバイスが行われます |
心理的支援 | 精神的負担を軽減するため、専門職によるカウンセリングなどが行われます |
まとめ
前立腺がんがステージ4で肺に転移している場合でも、治療の選択肢は複数あります。
標準的な治療を基本にしながら、患者様の状態や希望に応じて補完療法が検討されることもあります。
ご自身やご家族の不安に向き合いながら、主治医としっかり話し合いを重ねることが大切です。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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