ステージⅣの膵臓がんと光免疫療法の詳細解説
膵臓がんの背景
膵臓がんは、膵臓の外分泌部(消化酵素産生細胞)または内分泌部(ホルモン産生細胞)から発生する悪性腫瘍で、腺がん(腺管細胞がん)が全体の約90~95%を占めます。
膵臓は長さ15~20cmの細長い臓器で、胃の後ろに位置し、十二指腸に消化酵素を分泌する外分泌機能と、血糖を調整するインスリン・グルカゴンを分泌する内分泌機能を担っています。
このがんは「サイレントキラー」と呼ばれ、初期症状が乏しく(腹痛・背部痛・体重減少など非特異的)、診断時の約50~60%がステージⅣに達しています。
リスク要因として、喫煙(相対リスク2~3倍)、慢性膵炎、糖尿病(新規発症は要注意)、家族歴、遺伝性膵がん症候群(BRCA2、PALB2変異)などが挙げられ、近年は肥満や高脂肪食も関連が指摘されています。
日本では年間約45,000人が診断され、死亡数は約40,000人と、診断後1年生存率は約30%、5年生存率は約5~9%といわれており極めて予後不良です。
ステージⅣの膵臓がんの特徴と進行
ステージⅣの膵臓がんは、TNM分類で「M1」(遠隔転移あり)を満たす最進行段階であり、がんが膵臓を越えて肝臓(約70%)、腹膜(約50%)、肺(約30%)、骨、リンパ節、脳などに転移している状態です。
この段階では局所制御が不可能となり、全身化学療法や支持療法が治療の中心となります。
【進行メカニズムの詳細】
1. 局所浸潤:膵頭部がんは総胆管・十二指腸を圧迫(黄疸・腸閉塞)、膵体尾部がんは脾動脈・門脈を侵襲。
2. 腹膜播種:腹腔内にがん細胞が散布され、悪性腹水を誘発(腹部膨満、腸閉塞)。
3. 肝転移:門脈経由で肝内に多発性結節を形成。肝機能障害(Child-Pugh悪化)や黄疸を合併。
4. 遠隔転移:血行性転移で肺・骨(特に椎体)へ。骨転移は激痛を、肺転移は呼吸困難・胸水を招く。
【組織学的特徴】
●KRAS変異(90%以上):がん化のドライバー変異で、化学療法耐性を助長。
●TP53、CDKN2A、SMAD4変異:腫瘍抑制遺伝子の失活で増殖・転移促進。
●微小環境:間質が豊富(desmoplastic reaction)で、薬剤浸透を阻害(「要塞」のような構造)。
【予後指標】
●5年生存率:約2~7%。
●中央生存期間:化学療法ありで約8~12ヶ月、なしで約3~6ヶ月。
●腫瘍マーカー:CA19-9高値は予後不良、治療効果判定に有用。
●パフォーマンスステータス(PS):PS 0-1で治療可能、PS 3-4では支持療法優先。
【症状の進行パターン】
●早期:無症状または軽度の腹痛・背部痛。
●進行期:黄疸(胆管圧迫)、体重減少(10%超/3ヶ月)、糖尿病悪化(新規発症含む)。
●ステージⅣ:悪液質、腹水、腸閉塞、骨痛、呼吸困難、せん妄。
このように、ステージⅣでは全身性の炎症・代謝異常が顕著で、QOL(生活の質)の著しい低下を招きます。
光免疫療法の詳細
当院が提供する光免疫療法は、保険適用外の自由診療として、ステージⅣ膵臓がんを含む進行がんや転移がん患者様向けに実施しております。
この治療は、光感受性物質をリポソーム化して点滴で投与し、EPR効果を用いてがん細胞に選択的に集積させた後、近赤外線レーザーを照射します。
これにより、光化学反応を引き起こし、活性酸素を発生させてがん細胞をアポトーシス(プログラム細胞死)へ導き、正常細胞は抗酸化作用により影響を受けません。
また、破壊されたがん細胞から放出される抗原が免疫系を刺激し、照射部位以外の転移巣にも効果が期待されます。
【治療プロセス(プロトコル)】
1. お問い合わせを通じてインフォームド・コンセントの日程を設定。
2. 問診を行い、インフォームド・コンセントを取得。画像データ(CT/MRI)を確認し、治療効果を判断。
3. 治療前に薬剤、機器、照射時間を患者様の状態に合わせて選択。
4. 初日および毎回の治療時に血液検査を実施し、薬剤の点滴を行う。
5. 血管内治療と外部照射を実施。週1回(2日)の通院で6回実施(1クール)。
6. 6回終了後、2週間後に提携クリニックでCTまたはMRIを撮影。
7. 画像到着後(約1週間)、診断結果と治療効果を説明。
【ステージⅣ膵臓がんへの適用】
通常治療が難しいステージⅣ膵臓がん(腺がん、肝転移、腹膜播種、肺転移など)にも対応可能な場合があります。
EPR効果により薬剤を選択的に集積し、免疫刺激による転移巣への効果が期待されます。
患者様のステージやがん種に応じたカスタム治療(薬剤、機器、照射時間、方法)を実施し、FOLFIRINOXやゲムシタビン+ナブパクリタキセル、オプジーボ(ニボリズマブ)などの標準治療との併用で相乗効果を狙います。
再発予防(CTC除去)にも有効な治療法です。
【副作用とリスク】
副作用が少ない侵襲性の低い治療ですが、稀に以下のものが発生する可能性があります。
●血中照射、点滴、穿刺時の皮下血腫。
●悪心、嘔気、発熱、血管痛(点滴物質への免疫反応)。
●アレルギー反応やアナフィラキシーショック。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
治療の選択と患者様のサポート
ステージⅣの膵臓がんの治療は、患者様の全身状態、肝機能、併存疾患、希望に応じて個別化されます。
標準治療に加え、光免疫療法は免疫再活性化による延命・QOL向上の選択肢として注目されています。
治療に伴う疼痛管理、栄養サポート(経腸栄養・TPN)、精神ケアは不可欠で、緩和ケアチームとの連携が推奨されます。
また、セカンドオピニオンや臨床試験情報の提供も重要であり、患者様とご家族の意思決定支援を徹底致します。
まとめ
ステージⅣの膵臓がんは予後が厳しい疾患ですが、当院の光免疫療法は、EPR効果を活用した選択的がん細胞破壊と免疫活性化により、転移巣への効果や再発予防を目指す先進的な自由診療です。
標準治療との併用も可能で、副作用が少なくQOLを維持しながらの治療が期待されます。
治療選択には専門医との十分な相談が不可欠であり、早期のご相談をお勧めします。
膵臓がんに関することや当院の光免疫療法の詳細についてはは、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。
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【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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