日本人女性で最も罹患者が多い乳がん
乳がんは、日本人女性で最も罹患者が多いがんであり、毎年9万人以上が罹患しています。
女性のがん全体の20%を占めており、毎年約1万人が乳がんによって死亡しています。
40代~60代ががんに罹患するピークのため、中高年女性にとって最も注意すべきがんとなります。
この記事では、60代の乳がんに関する生存率などについて解説します。
高齢者の乳がんの特徴
65歳以上の高齢者の乳がんは、進行速度が遅く、ホルモン受容体陽性の割合が高いといわれています。
また、進行速度は遅いですが、発見時には進行してしまっているケースが多いです。
乳がん治療においては、年齢を考慮して、治療後の生活の質を優先することも少なくありません。
乳がんのステージと生存率
乳がんは、ステージによって大きく生存率が異なります。
生存率はがん患者の治療効果を判定する最も重要かつ客観的な指標であり、部位別の生存率を比較する場合は5年生存率がよく用いられます。
乳がんの5年相対生存率は、0期:100%、Ⅰ期:約95%、Ⅱ期:約90%、Ⅲ期:約77%、Ⅳ期:約38%と徐々に下がっていきます。
ステージ0期やⅠ期であれば95%以上の生存率となり、これは他の部位のがんと比べても高い数値となります。
また、年齢によって生存率は大きく変わらないといわれているため、60代の乳がん患者様も自分のステージである程度の生存率を予測できます。
60代の乳がんによる死亡率
国立研究開発法人国立がん研究センターの全国がん死亡データによって、年代別の乳がんによる死亡率は公開されています。
2022年の年齢階級別死亡率(乳房)では、人口10万人に対して、60~64歳:36.3人、65~69歳:42.9人 という割合となっています。
死亡率は40代以降から増え始め、年齢が上がるのに比例して増加しています。
健康状態の影響
60代で乳がんに罹った場合、がんの進行状況(ステージ)だけでなく、健康状態や依存疾患も考慮に入れた治療法が必要となります。
体力が衰えてくる年齢のため、治療によるリスクや副作用に対する耐性などを個別に判断します。
心疾患や糖尿病、腎不全、骨粗鬆症といった慢性疾患を抱えている場合は、手術や化学療法(抗がん剤)のリスクが高くなります。
また、適度な運動やバランスの取れた食生活、禁煙といった健康的な生活習慣は、乳がんの発症リスクを下げるため、健康な状態を維持することも大切です。
治療の種類と適用可否
60代の乳がん治療は、一般的な治療法と大きな違いはなく、手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法などが主な治療法となります。
65歳以上の高齢者は、ホルモン受容体陽性の乳がんの割合が高いため、ホルモン療法を選択される場合が多いです。
手術は、耐え得る健康状態と判断できる患者様には適用可能であり、乳房温存術か乳房切除術を行います。
乳房温存術後は放射線療法を行いますが、体の負担を考慮して省略されることもあります。
化学療法は、抗がん剤の副作用が若年者より重度に出やすいため、投与するスケジュールの調整や強度の低い薬剤を選択することがあります。
患者様の健康状態や進行状況に応じて、個別化した治療法の組み合わせが考えられます。
手術を耐え得る健康状態について
高齢者でも手術を耐え得る健康状態とは、国際老年腫瘍学会によって、次のような評価項目が挙げられています。
①身体機能(ADL:日常生活動作やIADL:手段的日常生活動作)
②併存症(薬剤を含む)
③認知機能
④精神機能(抑うつなど)
⑤社会的環境、支援体制
⑥栄養
⑦老年症候群(加齢に伴いあらわれる症状や兆候)
上記の項目を総合的に評価して、手術を行えるか判断されます。
光免疫療法と60代の乳がん
60代乳がん治療の選択肢として光免疫療法が挙げられます。
光免疫療法は、特定の波長の光を用いてがん細胞を選択的に攻撃する治療法です。
この治療法は、健康な細胞へのダメージを抑えつつ、がん細胞を選択的に攻撃することが可能です。
その為、副作用が少ない点が利点の一つに挙げられます。
60代の乳がん患者様は、身体的に虚弱となっていることもありますので、そういった場合は光免疫療法が適している可能性があります。
光免疫療法が適用できるかどうかは、がんの種類や進行状況、患者様の体調などによって判断します。
以下より当該治療に関する詳細をご確認頂けます。
まとめ
60代の乳がん患者様の生存率は、他の年代と大きな違いはないが、がんの進行度によって100%から40%以下まで変動する。
そのため、乳がんにおいては早期発見・治療を行うことで100%に近い治癒を期待できる。
60代の乳がん治療には、依存疾患や体力の問題といった健康状態も考慮に入れた治療の組み合わせが必要となる。
光免疫療法は副作用の少ない治療法のため、虚弱状態となった60代の患者様に対して有効な治療法になる可能性がある。
がんの進行状況、健康状態、治療後の生活の質といった複数の要素のバランスを考えて、治療法は個別化されるべきである。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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