1. ステージ4の肺がんとは
肺がんのステージ4は、がんが遠隔転移を起こし、肺以外の臓器にも広がっている状態を指します。
一般的に、ステージ4の肺がんでは以下のような転移が見られることが多いです。
| 転移部位 | 症状 |
|---|---|
| 脳転移 | 頭痛やめまい、神経症状が現れることがあります。 |
| 骨転移 | 骨の痛みや骨折のリスクが高まります。 |
| 肝転移 | 食欲不振や黄疸が発生することがあります。 |
| 胸膜播種（胸水） | 胸膜にがんが広がり、胸水が溜まることがあります。 |
そして、腹水は特に肺がんの進行例で問題となる症状のひとつです。
2. 腹水とは
腹水とは、お腹（腹腔）に異常に多くの液体が溜まる状態を指します。
通常、腹腔には少量の体液が存在し、臓器の動きを円滑にする役割を果たします。
しかし、がんが進行すると、腹腔内で異常な液体の蓄積が起こります。
| 肺がん患者様で腹水が発生する主な原因 | 説明 |
|---|---|
| 腹膜転移 | がん細胞が腹膜に広がり、炎症や血管透過性の亢進を引き起こすことで腹水が溜まる。 |
| リンパ管の閉塞 | がんがリンパの流れを妨げることで、体液が腹腔内に滞留する。 |
| 低アルブミン血症 | 進行がんでは血中アルブミン濃度が低下し、血管内の水分保持が困難になり、腹水が溜まりやすくなる。 |
| 腹水の主な症状 |
|---|
| お腹の張り（膨満感） |
| 食欲不振 |
| 呼吸困難（腹水が大量に溜まると横隔膜を圧迫し、肺が十分に膨らまなくなる） |
| 体重増加（腹水によるもの） |
| 倦怠感 |
3. ステージ4の肺がんにおける標準治療の難しさ
ステージ4の肺がんでは、標準治療として以下の治療法が考えられます。
| 治療法 | 説明 |
|---|---|
| 化学療法（抗がん剤治療） | がん細胞の増殖を抑えるために抗がん剤を使用する治療法。 |
| 分子標的治療 | EGFR変異やALK融合遺伝子陽性の場合に適応される治療法。 |
| 免疫チェックポイント阻害薬 | PD-L1陽性のがんに適応される免疫療法の一種。 |
| 放射線療法 | 局所的な痛みの緩和などを目的に放射線を照射する治療法。 |
しかし、腹水がある場合、標準治療が難しい可能性が高いとされています。
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| 腹膜播種が進んでいる可能性 | 腹膜転移がある場合、薬剤が腹膜内のがん細胞に十分に届かないことがあります。 |
| 低栄養状態 | 腹水が多くなると食事がとれず、体力低下により治療が難しくなる。 |
| 副作用のリスク増加 | 腹水があると、腎機能や肝機能が低下し、抗がん剤の代謝が遅れ、副作用が強く出ることがあります。 |
| 腹水そのものが治療の障害となる | 腹水が多いと、薬剤が十分に循環せず、効果が限定的になる。 |
そのため、標準治療が困難な場合、緩和ケアが中心になることも多く、新たな治療選択肢を検討する必要があります。
4. 光免疫療法の可能性
光免疫療法は、がん細胞に選択的に作用する治療法で、薬剤と光を組み合わせてがん細胞を破壊する技術です。
| 特徴 |
|---|
| 正常な細胞を傷つけにくい |
| 副作用が少ない |
| 薬剤耐性が生じにくい |
光免疫療法は、がん細胞に選択的に作用し、正常な組織への影響を抑えた治療法です。
肺がん（ステージ4）で腹水がある場合でも、病状によっては治療が可能な場合があり、標準治療が困難な患者様にとって、新たな選択肢となる可能性があります。
手術が適応外のケースや、抗がん剤の副作用による負担が大きい場合にも検討される治療法ですが、すべての患者様に適応できるわけではありません。病状に応じて慎重な判断が必要です。
適応条件や期待できる効果については、医師と十分に相談し、ご自身の体調や生活の質を考慮したうえで治療を選択することが重要です。
当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療方法を提案し、負担を抑えながら光免疫療法を検討することが可能です。
ご不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
以下より当院の光免疫療法について詳しくご確認いただけます。
5. 腹水への対処法
標準治療が難しい場合、腹水の症状を和らげるための対処が必要になります。
| 対処法 | 説明 |
|---|---|
| 腹水穿刺（腹水を抜く処置） | 針を使って腹水を排出し、一時的に症状を緩和する。ただし、抜きすぎると低タンパク血症が進行するリスクがある。 |
| アルブミン補充療法 | アルブミンを点滴することで、血管内の水分保持を助け、腹水の溜まりを軽減する。 |
| 利尿剤の使用 | フロセミドなどの利尿剤を用いて水分を排出するが、腎機能に注意が必要。 |
| 腹水濾過濃縮再静注法（CART） | 抜いた腹水を濾過し、不要な成分を除去した上でアルブミンと共に体内に戻す方法。 |
| 栄養管理 | 低ナトリウム食を心がけ、腎機能を維持するためにバランスの良い食事を摂取する。 |
6. まとめ
肺がん（ステージ4）で腹水が発生すると、標準治療の選択が難しくなることが多く、治療方針の再検討が必要になります。
| ポイント |
|---|
| 腹水の原因は腹膜転移、リンパの閉塞、低アルブミン血症などが関与 |
| 腹水により食欲不振や呼吸困難が生じ、全身状態の悪化を招く |
| 標準治療（化学療法・免疫療法）は腹水の影響で困難になることがある |
| 腹水に対する対処療法として、腹水穿刺、アルブミン補充、利尿剤などがある |
| 治療の選択肢として光免疫療法も適応できる可能性があります |
治療方針については、がんの進行状態や全身の状態を考慮しながら、医師と十分に相談し、最適な選択をすることが大切です。
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【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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