症状
症状 | 説明 |
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1. 腹部の不快感と腹痛 | ステージ3の卵巣がん患者は、腹部に腫れや圧迫感を感じ、慢性的な腹痛が発生することがあります。この痛みはしばしば持続的であり、患者の生活の質に大きな影響を与える可能性があります。特にがんが周辺組織に広がると、痛みの範囲や程度が増加することがあります。 |
2. 腹水の蓄積 | 卵巣がんが進行すると、腹腔内に余分な液体が蓄積しやすくなります。この腹水の蓄積により、患者の腹部が膨らみ、触れると腫れを感じることがあります。腹水の蓄積はしばしば呼吸の困難や腹痛を引き起こす可能性があります。 |
3. 排尿の変化 | 卵巣がんの進行に伴い、尿道や周囲の組織に圧迫がかかり、尿意頻度が増加し、排尿時に痛みや不快感を感じることがあります。これは近くの器官や組織にがんが拡がる結果として現れる可能性があります。 |
4. 体重減少と食欲不振 | 腫瘍の進行により、患者は食欲不振に悩まされ、体重が減少することがあります。がんは体内のエネルギーを消耗し、また治療による副作用も食欲不振を引き起こす可能性があります。体重の急激な減少は、患者の体力や免疫系に対する負担を増加させることが懸念されます。 |
診断
診断 | 説明 |
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1. 身体検査 | 医師は患者の腹部の状態を評価するために身体検査を行います。手で触診し、腹部に腫れや異常がないかを確認します。この段階で初期の腫瘍の有無や腫瘍が周囲の組織に及んでいる可能性を感じ取ることがあります。 |
2. 画像検査 |
さまざまな画像検査が使用され、腫瘍の位置と拡がりを評価します。 – 超音波検査: 高周波音波を用いて腹部の内部構造を観察し、腫瘍の有無や大きさを確認します。 – CTスキャン: X線を用いて複数の断層画像を生成し、腹部の詳細な構造を観察します。 – MRI(磁気共鳴画像診断): 強力な磁場と無害なラジオ波を使用して腹部の詳細な画像を提供し、軟部組織の状態を観察します。 これらの画像検査により、腫瘍の大きさや周囲の組織に与える影響が評価されます。 |
3. 血液検査 | 腫瘍マーカーと呼ばれる特定の物質の検査が行われます。例えば、CA-125は卵巣がんのマーカーとして知られています。血液中のこれらのマーカーのレベルが上昇することで、がんの存在や進行度についての手がかりを提供します。 |
4. 手術 |
確定診断のために手術が行われます。通常、腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)が選択され、小さな切開から腹腔内にカメラを挿入し、外科手術を行います。手術によって腫瘍組織が摘出され、その組織が詳細に検査され、がんの種類や進行度が確定されます。 これらの診断手段は、早期にがんを発見し、最適な治療法を選択するために不可欠です。患者の個別の状態に基づいてこれらの検査が組み合わされ、診断が確定されます。 |
治療法
治療法 | 説明 |
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1. 手術 |
手術は卵巣がんの治療の中で一般的なアプローチであり、以下の方法が行われることがあります。 腫瘍の切除: 腹腔鏡手術や開腹手術により、卵巣の腫瘍を切除します。手術の範囲は腫瘍の大きさや拡がりによって異なります。 近隣組織の除去: 腫瘍が周囲の組織に広がっている場合、近隣の組織やリンパ節なども同時に取り除かれることがあります。 |
2. 化学療法 | 化学療法は手術後に残ったがん細胞を排除し、再発を防ぐために行われることがあります。がん細胞を標的とする抗がん剤が投与され、全身のがん細胞を攻撃します。副作用があるため、患者の状態やがんの種類によって適切な薬剤やスケジュールが選ばれます。 |
3. 放射線療法 | 放射線療法は、高エネルギーの放射線を使用してがん細胞を破壊する治療法です。卵巣がんの場合、手術後に残存可能性のあるがん細胞を抑えるため、またはがんが周囲の組織に広がっている場合に行われることがあります。外部照射や内部照射(ブラキセラピー)が行われることがあります。 |
4. ターゲット治療 | ターゲット治療は特定のがん細胞に対して効果的な治療法です。がん細胞を標的にし、正常な細胞への影響を最小限に抑えることが目指されます。卵巣がんにおいては、特定の細胞の増殖を阻害するターゲット治療薬が利用されることがあります。個々の患者のがんの特性に基づいて選択されることが一般的です。 |
光免疫療法
光免疫療法は、特定の薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する治療法です。
薬剤はがん細胞に選択的に集積し、その後特定の波長の光を照射することで、がん細胞を破壊する仕組みとなっています。
この治療法は、副作用が少なく、患者様の負担を軽減することが期待されています。
光免疫療法は、他の治療法と組み合わせて使用されることもあり、相乗効果が期待出来ます。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
予後
予後 | 説明 |
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1. 生存率 | ステージ3の卵巣がんの予後は、患者の状態や治療の効果に大きく依存します。一般的には、ステージ3のがんは既に周辺組織やリンパ節に広がっているため、治療が難しく予後が厳しいと考えられています。生存率は個人差があり、早期に診断され、適切な治療を受けることが重要です。 |
2. 再発の可能性 | がんが完全に取り除かれなかった場合、ステージ3の卵巣がん患者は再発のリスクが高まります。再発は治療後数ヵ月から数年後に発生することがあり、患者の経過観察が重要です。再発の早期発見と適切な対応が予後の改善に寄与します。 |
3. 生活の質 | 卵巣がんの治療には副作用が伴うことがあり、これが生活の質に影響を与える可能性があります。例えば、化学療法による吐き気や疲労感、手術に伴う身体的な制限などが挙げられます。サポートとケアが重要であり、患者とその家族は医療チームと協力してこれらの課題に対処する必要があります。生活の質の向上を目指すために、栄養管理や心理的なサポートも重要です。 |
4. 専門家との相談 | 卵巣がんの治療や予後は個人の状態によって異なります。患者は専門の医師や医療チームとの密な相談が不可欠です。治療計画や経過観察は患者に合わせて調整され、最適なサポートが提供されるべきです。継続的なフォローアップが予後のモニタリングに役立ち、患者の健康状態に合わせて治療の最適化が図られます。 |
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次 がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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