小腸がんと肝転移の基礎知識
小腸がんは消化器系がんの中でも比較的発見されにくく、進行してから見つかるケースが多いとされます。
ステージ4と診断された場合、がんが他の臓器へ転移している状態を指します。
その中でも肝臓は血流が豊富で、小腸から流れる門脈系の血液が集まりやすいため、転移が起こりやすい部位と考えられています。
また、小腸がんには腺がんや神経内分泌腫瘍（カルチノイド）などの種類があり、それぞれ進行の速度や治療の方向性に違いがあることもあります。
肝転移が確認されると、全身状態を踏まえて治療方針を慎重に検討する必要があります。
肝転移による主な症状
肝転移は初期の段階では自覚症状が乏しい場合が多く、画像検査によって偶然見つかることもあります。
しかし転移の進行に伴って、体調に変化が現れることがあります。
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| 倦怠感 | 肝機能の低下が影響して、体が重く感じられることがあります。 |
| 腹部の膨満感や痛み | 腫瘍の増大により、肝臓が圧迫されることが考えられます。 |
| 黄疸 | 胆管の圧迫や閉塞によって皮膚や白目が黄色くなることがあります。 |
| 食欲低下 | 消化機能の変化や全身の代謝異常が影響することがあります。 |
治療選択肢とその特徴
ステージ4の肝転移に対しては、必ずしも根治を目指せる治療が可能とは限りません。
ただし、症状緩和や延命を目的とした治療が検討されることはあります。
以下に代表的な治療法とその概要をまとめます。
| 治療法 | 特徴 |
|---|---|
| 抗がん剤治療 | 腸がん全体で使用される5-FUやオキサリプラチン系が含まれる場合があります。 |
| 分子標的治療 | 遺伝子の変異状態に応じて、特定の分子を狙った薬剤が用いられることがあります。 |
| 肝動注化学療法 | 肝動脈に薬剤を注入する局所治療で、全身への影響を抑えることが意図されます。 |
| 外科的切除 | 転移の数や位置が限られている場合に、外科手術が検討されることもあります。 |
| 放射線治療 | 肝臓の腫瘍に対して局所的なコントロールを目指す選択肢のひとつです。 |
光免疫療法の可能性
従来治療に加え、選択肢として光免疫療法が一部で検討出来る可能性もあります。
光免疫療法は、がん細胞に集積する光感受性物質に近赤外線を照射することで細胞死を誘導する技術です。
正常細胞への影響を抑えつつ、がん細胞を選択的に攻撃する仕組みが特徴とされています。
当院の光免疫療法に関する詳細は以下よりご確認頂けます。
治療選択と生活のバランス
ステージ4で肝転移がある場合、治療と生活をどう両立させていくかが大きな課題となります。
患者様自身の意向を尊重しながら、症状のコントロールや生活の質を維持することを重視する考え方もあります。
治療内容だけでなく、緩和ケアや在宅支援なども含めたサポート体制を整えることが、心身の負担を和らげる手助けとなるかもしれません。
ご家族とともに、医師や医療チームと十分に話し合いながら、納得のいく治療方針を考えていくことが大切です。
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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