末期の膵臓がんと現代の治療戦略
膵臓がんの成因とリスク要因
膵臓がんは、腺管細胞がんが約90~95%を占める悪性腫瘍で、その発生機序は多段階的です。
主なドライバー変異としてKRAS遺伝子変異(90%以上)が挙げられ、これにTP53、CDKN2A、SMAD4などの腫瘍抑制遺伝子変異が重なることで悪性化が進みます。
環境要因では、喫煙(相対リスク2~3倍)が最も強い関連を示し、慢性膵炎(特に遺伝性膵炎)はリスクを10~20倍に高めます。
2型糖尿病(新規発症含む)は前駆状態として注目され、肥満(BMI≥30)は1.5~2倍のリスク増大を招きます。
遺伝的背景では、家族性膵がん(2親等以内に2人以上)やBRCA2、PALB2、ATM変異が重要で、遺伝カウンセリングが推奨されます。
膵臓がん末期(ステージⅣ)の5年生存率は極めて低く、予後不良な癌となります。
末期(ステージⅣ)膵臓がんの定義と進行パターン
末期膵臓がんはTNM分類でステージⅣ(M1:遠隔転移あり)を指し、診断時の約50~60%を占めるともいわれます。
転移先は肝臓(70%)、腹膜(50%)、肺(30%)、骨が主で、門脈・脾静脈侵襲や腹水・胸水を伴うことが多いです。
進行パターンは膵頭部がんと体尾部がんで異なり、頭部がんは総胆管圧迫→黄疸・胆管炎、体尾部がんは脾動脈侵襲→脾腫・門脈圧亢進を特徴とします。
腹膜播種は悪性腹水を誘発し、腸閉塞や悪液質を進行させます。
腫瘍マーカーCA19-9は>1,000 U/mLで予後不良を示し、治療効果判定にも有用です。
パフォーマンスステータス(PS)がPS 0-1であれば積極的治療が可能ですが、PS 3-4では支持療法が優先されます。
末期膵臓がんの症状とQOLへの影響
末期では上腹部・背部痛が最も頻発し、オピオイドが必要になることが多いです。
黄疸(胆管圧迫)は皮膚掻痒感・肝機能障害を、体重減少は悪液質を招きます。
糖尿病悪化(新規発症含む)はインスリン分泌障害によるもので、血糖コントロールが課題となります。
腹水・腸閉塞は腹部膨満・嘔吐を、骨転移は激痛を、肺転移は呼吸困難・胸水を引き起こします。
これらの症状はQOLを著しく低下させ、心理的負担(不安・うつ)も増大します。
緩和ケアチームの早期介入が疼痛管理・栄養サポートに不可欠です。
現代の標準治療戦略
末期膵臓がんの治療目的は延命とQOL維持が主となります。
第一選択はFOLFIRINOXレジメン(5-FU+ロイコボリン+イリノテカン+オキサリプラチン)で、中央生存期間(mOS)約11~12ヶ月、1年生存率約45~50%を達成します(PS 0-1限定)。
第二選択はゲムシタビン+ナブパクリタキセルで、mOS約8~9ヶ月。
分子標的薬としてPARP阻害剤(オラパニブ)はBRCA変異陽性例に、NTRK阻害剤はNTRK融合遺伝子陽性例に有効です。
免疫チェックポイント阻害剤はMSI-H/dMMR例(約1%)にペムブロリズマブが保険適用されますが、PD-L1発現は予後予測に有用でも治療選択には限界があります。
標準治療の限界と課題
標準治療は延命効果を示すものの、根治が極めて難しく、耐性獲得も早いです。
また、副作用(重度の下痢、吐き気、骨髄抑制、神経障害など)が強く、体力のある患者様に限定されるという課題があります。
特に高齢者やPS不良例では継続が困難で、治療選択肢が急速に狭まります。
進行の速さと転移のしやすさから、標準治療だけでは十分なコントロールが難しい現実があります。
光免疫療法:新たな治療戦略としての可能性
当院が提供する光免疫療法は、標準治療の限界や課題を補う自由診療として末期膵臓がんに対応しています。
ICGをリポソーム化し、EPR効果によりがん細胞に選択的に集積させた後、近赤外線レーザーを照射します。
これにより活性酸素が発生し、免疫刺激効果で転移巣への全身的な影響も期待できます。
そして、血管内治療(CTC除去)を併用することで再発予防も目指します。
標準治療との併用も可能であり、副作用は軽度(発赤・軽い熱感程度)にとどまり、外来通院で完結します。
そのため、標準治療が耐性や重い副作用で継続困難となった場合でも、負担の少ない選択肢として有効です。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認いただけます。
まとめと今後の展望
末期膵臓がんは予後が厳しい疾患ですが、FOLFIRINOXやゲムシタビン+nab-paclitaxelによる一定の延命効果があります。
しかし、標準治療の限界(耐性獲得の早さ、重篤な副作用、体力低下による継続困難)が大きな課題となっています。
光免疫療法はこうした標準治療の限界や課題を補う治療法といえます。
膵臓がんの標準治療が終了した方でも、まだ諦める必要はありません。
患者様・ご家族の希望を尊重し、多職種連携でQOLを最大化する治療選択を、当院は全力でサポート致します。
当院の光免疫療法による詳細な治療相談やセカンドオピニオンなど、膵臓がんに関するお悩みはぜひご相談ください。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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