症状
ステージ3の肺がんは進行が著しくなり、多くの症状が現れる可能性があります。
これらの症状はがんが周囲組織に広がり、全身的な影響を及ぼす結果として現れます。
症状 | 原因 | 特徴 |
---|---|---|
腹痛 | 肺がんが近くの組織や器官に侵入すると、神経や血管に影響を与え、腹痛が発生する可能性があります。 | 痛みの程度や性質は個人差があり、しばしば鈍痛や圧迫感として現れます。 |
体重減少 | 悪性腫瘍が栄養を吸収し、がん細胞の成長に使用することが一因となり、体重減少が起こることがあります。 | 体重減少は通常進行がんの特徴であり、無理なダイエットや運動不足によるものではない場合が多いです。 |
食欲不振 | 腫瘍の影響や治療の副作用により、食欲が低下することがあります。 | 食べ物の味覚が変化し、嗜好が減退することも見られます。 |
呼吸困難 | 肺がんが拡がり、気道や肺組織に影響を与えることで呼吸困難が発生します。 | 労作時の息切れや安静時でも呼吸が苦しくなることがあります。 |
咳や喀血 | 肺がんが気道に影響を与え、咳や血痰が発生することがあります。 | 喀血は深刻な症状であり、速やかな医療の必要性があります。 |
持続的な咳 | 肺がんが気道に刺激を与え、咳が持続的に続くことがあります。 | 長期間にわたり続く咳があり、患者の生活の質に影響を与えることがあります。 |
診断
ステージ3の肺がんの診断は綿密かつ総合的なアプローチを必要とします。主な診断手段には以下のようなものがあります。
- 画像検査(CTスキャン、MRI): 肺がんの診断において重要な手段であり、肺やその周囲の組織の詳細な断層像を提供します。これによりがんの大きさや位置、リンパ節の腫れなどが視覚化されます。
- MRI: CTスキャンに補完されることがあり、特に脊椎や胸郭などの詳細な解剖学的構造を調査するのに役立ちます。
- 病理検査(生検):がん細胞の確定診断を得るために行われます。医師は通常、肺組織の一部を摘出し、顕微鏡で詳細な検査を行います。生検の結果、がんの種類や特性、および進行度などが明らかになります。
- 血液検査:血液中の特定の腫瘍マーカーや生物学的指標の変化を調査することがあります。これはがんの進行や治療効果のモニタリングに寄与します。
これらの診断手段が組み合わさることで、肺がんのステージ3における正確な診断が可能となります。この情報は治療計画の策定や患者の予後評価に重要な役割を果たします。患者はこれらの検査を通じて医療チームと協力し、最適な治療法を選択するための情報を得ることが求められます。
治療法
ステージ3の肺がんに対する治療法は、患者の健康状態やがんの性質により個別化され、複数のアプローチが組み合わさることが一般的です。
手術
- 肺切除手術: 腫瘍を取り除く手術。手術の範囲は腫瘍の位置、大きさ、周辺組織への拡がりに基づいて決定され、部分的な切除(セグメンタル切除、葉切除)または全摘出が検討されます。
- リンパ節郭清: がんがリンパ節に広がっているかどうかを確認するために、周辺のリンパ節も取り除かれることがあります。
放射線療法
- 外部照射: 高エネルギーのX線や他の放射線をがん組織に照射することで、がん細胞の増殖を抑制し、腫瘍を縮小させる目的で行われます。
内線治療(ブラキセラピー): 放射線源をがんに近接して配置し、局所的に治療を行う手法。
化学療法
- 薬物療法: 抗がん剤を使用してがん細胞を攻撃する。手術前(新しい腫瘍を縮小するため)、手術後(残存がん細胞を排除するため)、または独立した治療として行われることがあります。
免疫療法
- 免疫チェックポイント阻害薬: 免疫システムを活性化させ、がん細胞に対する免疫応答を増強する。がん細胞に対する免疫を活発化させ、治療効果を向上させることが期待されます。
光免疫療法
光免疫療法は、特定の薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する治療法です。
薬剤はがん細胞に選択的に集積し、その後特定の波長の光を照射することで、がん細胞を破壊する仕組みとなっています。
この治療法は、副作用が少なく、患者様の負担を軽減することが期待されています。
光免疫療法は、他の治療法と組み合わせて使用されることもあり、相乗効果が期待出来ます。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
治療計画
- 個別化: 患者の全身状態、病歴、がんの性質に基づいて治療計画が個別に立てられます。
- マルチディシプリナリーチーム: 複数の専門家(外科医、腫瘍学者、放射線腫瘍学者など)からなるチームが協力して最適な治療戦略を策定します。
これらの治療オプションは、患者の状態やがんの進行度合いにより組み合わせて使用され、最善の結果を得るために調整されます。
患者は医療チームと協力して、個別に適した治療プランを共有し、進行がんに対する包括的なアプローチを受けることが重要です。
予後
ステージ3の肺がんの予後は、治療の選択、がんの性質、患者の一般的な健康状態によって大きく影響される複雑な要因により決まります。
治療の選択
- 手術の成功: 完全な摘出ができれば予後が改善される可能性がありますが、ステージ3では周囲組織にまでがんが広がっているため、摘出が難しい場合があります。
- 放射線療法と化学療法: これらの治療法は、がんの進行を抑制し、再発を防ぐ効果が期待されますが、治療の選択肢によって予後が異なります。
がんの性質
- 腫瘍の種類: がんの種類によって治療の反応性が異なり、予後に影響を与えることがあります。
- 遺伝子変異: がん細胞の特定の遺伝子変異は治療応答に影響を与え、治療方針に遺伝子検査が組み込まれることがあります。
再発のリスク
- 周囲組織への拡がり: ステージ3ではがんが周辺組織に広がっているため、完全な摘出が難しい場合があり、再発のリスクが高まります。
患者の一般的な健康状態
- 合併症や健康状態: 治療への耐性や合併症の発生は予後に影響を与える可能性があります。
- 生活習慣: 喫煙、運動、栄養状態などの生活習慣も予後に影響を与える要因です。
患者と医師の協力
- 治療計画への遵守: 患者が治療計画に遵守し、定期的なフォローアップを受けることが予後に影響を与えます。
- 心理的サポート: 患者の心理的な健康も考慮され、適切なサポートが予後に寄与します。
総合的に、ステージ3の肺がんの予後は複雑な要因に影響されるため、専門医との協力が重要です。
患者は適切な治療計画を受けながら、精密で包括的なケアを受けることが必要です。
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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