目次
卵巣がんのステージⅠ期とは
卵巣がんは、卵巣に発生した悪性腫瘍であり、がんの大きさや広がりに応じて、Ⅰ~Ⅳ期のステージ(病期)に分類されます。
進行の程度は、手術によってがんの広がりを確認する「手術進行期分類」が用いられます。
ステージⅠ期は初期段階であり、がんが卵巣内に限局している状態となります。
Ⅰ期は、ⅠA期、ⅠB期、ⅠC期(ⅠC1期、ⅠC2期、ⅠC3期)に細分化され、卵巣の片方だけにがんが留まっている場合はⅠA期、両方の卵巣にがんが留まっている場合はⅠB期、卵巣を覆っている被膜が破れていたり腹水にがん細胞がみられる場合はⅠC期となります。
ステージⅠ卵巣がんの症状とは?
卵巣がんは、初期段階では自覚症状がほとんどないため、ステージⅠでは気がつかない人がほとんどです。
しかし、細心の注意が必要で、腹部不快感、膨満感、尿頻度の増加、および消化器系の異常などが注意されます。
ウエストがキツくなったと感じたり、腹部にしこりを見つけた場合は、卵巣がんの可能性があります。
定期的な自己検診は、早期発見のために重要となります。
卵巣がんのステージⅠの診断方法と検査手順
卵巣がんの検査は、超音波検査、CTスキャン、MRIなどの画像診断や血液検査が行われ、腹腔鏡手術の病理診断によって確定診断が行われます。
手術の前に確定診断することは不可能なため、画像診断や血液検査で卵巣がんの可能性があると判断された場合には、基本的には手術を行います。
初回治療の手術で行う確定診断によって、術後の治療法を決定します。
ステージⅠ卵巣がんの治療法
ステージⅠ卵巣がんの治療法は、手術と化学療法が主となります。
前述の通り、卵巣がんでは初回治療の手術によって確定診断が行われ、ステージが分かります。
それ以外にもがんをできるだけ切除することを目的として手術が行われます。
手術の結果、ステージⅠA・ⅠBで低異型度と診断された場合は、経過観察を行います。
ステージⅠA・ⅠBで高悪性度、もしくは明細胞がんでステージⅠCと診断された場合は、術後に化学療法を行います。
そのため、ステージⅠでは術後に必ず化学療法を行うのではなく、進行度や組織型、悪性度によって判断されます。
光免疫療法の適用
光免疫療法は、特定の薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する治療法です。
薬剤はがん細胞に選択的に集積し、その後特定の波長の光を照射することで、がん細胞を破壊する仕組みとなっています。
この治療法は、副作用が少なく、患者様の負担を軽減することが期待されています。
光免疫療法は、他の治療法と組み合わせて使用されることもあり、相乗効果が期待出来ます。
卵巣がんについても適用できる可能性がありますので、光免疫療法が気になる方は一度ご相談ください。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
卵巣がんの予防策と早期発見の重要性
卵巣がんは、ステージⅠ期やⅡ期の初期段階ではほとんど自覚症状がないため、早期発見が難しいです。
そのため、症状に気がついた時には、進行がんであるⅢ期やⅣ期になっている可能性があります。
下腹部の違和感や、腹部のしこりや膨張感、痛みといった症状がある場合には、できるだけ早めに婦人科を受診しましょう。
また、卵巣がんの約10%は遺伝的要因によるものとされているため、近親者に卵巣がんや乳がんの人がいる場合や、BRCA1やBRCA2の異常があると診断された人がいる場合は、遺伝子検査を受けることを検討しましょう。
卵巣がん予防の生活スタイル変更
卵巣がんの治療後は、生活スタイルの変更が望ましいことがあります。
閉経前に両側の卵巣を摘出した場合、女性ホルモンが減少して更年期障害に似た症状が起こることがあります。
そのため、卵巣の摘出手術を受けた患者様は、骨粗しょう症の予防で乳製品や青魚などを積極的に取ったり、コレステロールなど脂肪分の多い食品を過剰摂取しないといった、バランス良い食生活が推奨されます。
また、喫煙や過剰な飲酒も控えて、身体的なストレスを減らすことも大切となります。
その他にも、適度な運動によって肥満にならないようにすることも、再発防止に繋がります。
患者支援グループとコミュニティ
患者支援グループやコミュニティは、卵巣がんの患者様にとって貴重な情報源であり、経験の共有と支え合いの場となります。
専門家のアドバイスや他の患者の経験に触れることで、治療への積極的な姿勢を維持することが期待されます。
まとめ
卵巣がんのステージⅠは初期段階であり、卵巣内にがんが留まっている状態となります。
また、初期段階では自覚症状がほとんどないため、体に起こる変化に対して敏感に察知する必要があります。
ステージⅠの卵巣がんの治療は、手術と化学療法が主となり、進行度や組織型によって決定されます。
光免疫療法についても、ステージⅠの卵巣がんに対して効果的な治療成績となる可能性があります。
卵巣がんは再発をしやすいタイプのがんのため、治療後は再発の予防となる生活スタイルが望まれます。
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次 がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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