卵巣明細胞がん「原因から治療までの包括的ガイド」

卵巣がんの組織型分類

卵巣がんは卵巣に発生する悪性腫瘍であり、発生する場所によって種類が異なります。
卵巣がんの種類は、上皮性腫瘍、胚細胞腫瘍、性索間質性腫瘍に大きく分けられ、全体の約90%&が上皮性腫瘍です。
また、がんの種類は組織型によっても分類されます。
上皮性卵巣がんは、漿液性がん、明細胞がん、類内膜がん、粘液性がんなどの組織型に分類されます。
これらの組織型によって、進行スピードや化学療法(抗がん剤)の効き方が異なるという特徴があります。

卵巣明細胞がんとは

卵巣明細胞がんは、欧米では稀な組織型であるが日本では頻度が高いがんです。
日本では、上皮性卵巣がんのうち約24%が卵巣明細胞がんという報告があります。
また、卵巣明細胞がんの約半数はステージⅠ期で診断され、進行は遅いとされています。
そして、卵巣明細胞がんは漿液性がんと比較して予後が悪いといえます。

発生とリスクファクター

卵巣明細胞がんの正確な発生機序は未だ完全には解明されていませんが、子宮内膜症との関連が指摘されています。
卵巣がんⅠ期の症例の40%に子宮内膜症を合併し、そのうち41%が類内膜腺がんであり,31%が明細胞がん、18%が類内膜と明細胞の混合型であったという報告があります。
予後が悪い卵巣明細胞がんであっても、ステージⅠ期とⅡ期の5年生存率は70%以上となります。
そのため、卵巣明細胞がんを早期発見するには、卵巣子宮内膜症に注意しておく必要があるといえます。
その他にも、DNAとタンパク質の合成異常や細胞増殖にブレーキをかける遺伝子など複数の遺伝子に変異や量の異常が起こり、明細胞がんが発症している可能性が高いということも分かっています。

症状と診断

卵巣明細胞がんの初期症状はほとんどなく、進行すると腹痛や腹部膨満感などを感じることがあります。
先ほど説明した通り、明細胞腺がんは子宮内膜症のチョコレート嚢胞内でがん化することが多いため、卵巣に留まっている状態が長いという特徴があります。
そのため、約半数の症例がステージⅠ期で見つかっています。
診断には超音波検査、CT、MRIなどの画像診断や、CA-125という腫瘍マーカーの測定が利用されます。
最終的な診断は、初回手術によって組織を採取し、病理検査によって行います。

治療方法

卵巣明細胞がんは、抗がん剤が効き難く予後が悪いというがんです。
Ⅰ期でも治療成績が悪く、再発した場合にはさらに深刻な状態となる傾向にあります。
そのため、初回手術によって可能な限り腫瘍を取り除くことが非常に重要となります。
その後の化学療法としては、TC療法が第一選択肢となりますが、CPT-P療法も有望と考えられており、臨床試験の結果が待たれます。
近年、標的療法薬も卵巣明細胞がんの治療に用いられることがあります。

光免疫療法とは

光免疫療法は、特定の光に反応する薬剤を腫瘍細胞に集積させ、その後に特定の波長の光を照射して腫瘍細胞を破壊する治療法です。
この方法は、選択的に腫瘍細胞に作用し、周囲の正常組織へのダメージを抑えることが可能です。
卵巣明細胞がんに対しても適用可能な場合がありますので、治療法にお悩みの患者様は一度ご相談ください。
光免疫療法は、基本的に標準治療を受けられている方でも、併用して治療を受けて頂けます。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。

まとめ

卵巣明細胞がんは、日本では高い割合で発症し、予後が非常に悪いタイプのがんです。
発症する要因としては、子宮内膜症が関係すると考えられていますが、詳細は解明されていません。
化学療法(抗がん剤)が効き難いがんのため、初回手術によっていかに多くの腫瘍を取り除けるかが治療成績に大きく影響します。
再発後の治療は更に困難なものとなるため、早期発見・治療によって完治率を少しでも上げることが望まれます。
光免疫療法についても、卵巣明細胞がんに対して有効な治療法の一つとなる可能性があります。

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