肝臓がんの再発転移と光免疫療法の詳細解説
再発転移の概要
肝臓がんの再発転移とは、初回治療(主に肝切除や局所療法)後にがんが肝内または肝外(肺、骨、リンパ節、腹膜など)に再出現・広がる現象を指します。
2025年現在、日本での肝臓がん(主に肝細胞がん:HCC)新規診断数は約3万件を超えており、肝切除後の5年再発率は70~80%と極めて高く、初回治療から1~2年以内に発生するケースが半数以上を占めます。
この現象は、微小残存がん細胞(MRD)の存在や腫瘍の多中心性発生が原因であり、血行性・リンパ行性転移が主となります。
再発転移の発見は、定期フォローアップで可能ですが、早期発見が予後を左右し、未発見で進行すると肝不全や多臓器不全を招きます。
BCLC分類ステージB/Cで再発率が高く、転移合併で中央生存期間が約6~12ヶ月と厳しいため、分子標的・免疫療法といった新たな治療法の進歩が延命に寄与しています。
再発転移のリスク要因
肝臓がんの再発転移リスクは多因子性であり、初回腫瘍の大きさ、多発結節、血管侵襲、衛星結節、治療方法、肝機能などに影響されます。
また、生活習慣(アルコール過剰摂取、肥満)、ウイルス性肝炎(HBV/HCV持続感染)、遺伝的要因も関与します。
60代以上の高齢者では、免疫低下でリスクがより高くなります。
予防のために、HBV/HCV治療、禁酒・減量、定期検診が重要となり、ctDNAモニタリングの導入で早期介入が可能です。
そして、早期の再発転移を見逃さないためにも、患者様自身が体調の変化に敏感であることが求められます。
再発転移に対する標準治療
再発転移の標準治療は全身療法が中心となり、肝機能温存が優先されます。
一次治療として、アテゾリズマブ + ベバシズマブをが推奨されます。
代替としてレンバチニブやソラフェニブ、二次治療はカボザンチニブやラムシルマブが推奨されます。
局所再発には、TACE(経動脈化学塞栓)やRFA(ラジオ波焼灼)が行われます。
肺/骨転移合併時はSBRTや放射線+ビスフォスフォネートが併用され、緩和ケアは早期導入でQOLが向上します。
しかし、副作用で中断率も高く、耐性獲得後には治療選択肢が狭まるため、新興療法の検討も必要となる場合があります。
光免疫療法とは
光免疫療法とは、特定の光を利用してがん細胞を攻撃する治療法です。
この治療法は、特定の薬剤と組み合わせて使用され、がん細胞にダメージを与えることで、再発転移のリスクを低減することができます。
健常な細胞へのダメージを抑えることができるため、副作用のリスクが低いのが特徴の一つとして挙げられます。
そして、標準治療と併用可能な治療法であり、標準治療の限界を補完する相乗効果も期待できます。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
光免疫療法のメリットとデメリット
光免疫療法のメリットとして、副作用が少ない、治療時間が短い、入院の必要がないなどが挙げられます。
光免疫療法は専門的な設備と技術を要するため、全ての医療機関での提供が難しい点がデメリットとして挙げられます。
治療の選択をする際には、患者様の状態や治療の特性、メリット・デメリットを十分に理解し、医師との相談を重ねることが重要です。
まとめ
肝臓がんの再発転移は、多くのリスク要因が関与しており、適切な治療と経過観察が必要です。
標準治療で生存期間の延長を期待できますが、耐性・副作用による限界もあります。
光免疫療法は、肝臓がん再発転移における標準治療の限界を補完できる可能性がある治療法です。
治療の選択には患者様の状態や治療法の特性を十分に考慮する必要があります。
当院の光免疫療法の適用や再発転移に関する疑問は、些細なことでもお気軽にご相談ください。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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