子宮頸がんの腹膜播種(ステージ4 )に関する治療の選択肢

がんに関する基礎知識光免疫療法に関して子宮頸がん標準治療ができないケース腹膜播種

1 1. 子宮頸がんの進行とステージ4の特徴
2 2. 腹膜播種の特徴と症状
3 3. ステージ4・腹膜播種の標準治療の限界
4 4. その他の治療選択肢
5 5. 光免疫療法の可能性
6 6. まとめ

1. 子宮頸がんの進行とステージ4の特徴

子宮頸がんは、子宮の入り口である子宮頸部に発生するがんであり、ヒトパピローマウイルス（HPV）の持続感染が主な原因とされています。
早期であれば手術や放射線治療で対応できる可能性が高いですが、進行すると治療の選択肢が限られてきます。
ステージ4は、がんが子宮頸部を超えて遠隔の臓器へ広がった状態を指し、以下の2つのサブステージに分類されます。

ステージ	定義
ステージ4A	がんが膀胱や直腸に広がっているが、遠隔転移はない
ステージ4B	がんが肺、肝臓、骨、リンパ節、または腹膜に転移している

このうち、腹膜播種（ふくまくはしゅ）は、がん細胞が腹腔内に広がり、腹膜の表面に多数の転移を形成する状態を指します。これはステージ4Bに分類され、治療が非常に難しくなることが多いです。

2. 腹膜播種の特徴と症状

項目	説明
（1）腹膜播種の特徴
がん細胞の腹腔内拡散	子宮頸がんが進行すると、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って腹膜に広がり、複数の転移巣を形成します。
ステージ4Bに分類される	腹膜播種は遠隔転移の一種であり、子宮頸がんのステージ4Bに該当し、治療が困難になる傾向があります。
腹膜の炎症や機能低下	腹膜全体にがんが広がることで炎症を引き起こし、腹腔内の臓器に影響を及ぼします。
（2）腹膜播種による症状
腹水の貯留	腹膜の炎症により腹水が溜まりやすくなり、腹部の膨満感や圧迫感が生じます。
腹部膨満感・違和感	腹水や腫瘍による圧迫で、お腹が張る感じが続くことがあります。
食欲不振・消化不良	腹腔内のがんが胃腸を圧迫し、食事量が減ったり、胃もたれを感じることがあります。
腸閉塞のリスク	腫瘍が腸を圧迫したり、腹膜の癒着が起こることで、便秘や腸閉塞（腸管の閉塞）が発生する可能性があります。
痛みや不快感	腹膜の神経が刺激されることで、腹部の痛みや圧迫感が強くなることがあります。

3. ステージ4・腹膜播種の標準治療の限界

子宮頸がんの治療は、がんの進行度に応じて選択されますが、ステージ4Bの場合、標準治療として以下のような方法が考えられます。

治療法	概要
化学療法	シスプラチン＋パクリタキセル＋ベバシズマブを用いた抗がん剤治療
放射線治療	局所的なコントロールを目的とした放射線照射
対症療法	腹水の除去や痛みの管理など、症状緩和を目的とした治療

しかし、腹膜播種を伴う場合、化学療法が十分に効果を発揮しないことが多く、放射線治療も広範囲な播種には適用が難しいケースが増えます。
そのため、患者様の状態によっては標準治療の適応が難しい場合があります。

4. その他の治療選択肢

標準治療が難しい場合や、効果が得られにくい場合には、以下のような選択肢が検討されることがあります。

治療法	概要
腹腔内化学療法	抗がん剤を直接腹腔内に投与し、局所的な効果を狙う
分子標的治療	がん細胞の特定の分子をターゲットにする治療（例：ベバシズマブ）
免疫療法	がん細胞に対する免疫反応を高める治療
光免疫療法	光を用いた新たな治療選択肢（※詳細は後述）