子宮体がんの骨転移(ステージ4 )に関する治療の選択肢

1. 子宮体がんの概要

子宮体がん（子宮内膜がん）は、子宮の内側を覆う内膜から発生するがんであり、主に閉経後の女性に多く見られます。
初期症状としては、不正出血や下腹部の違和感などがありますが、進行するにつれて症状が悪化し、遠隔転移を伴うケースもあります。

子宮体がんの進行度は、国際がん連合（UICC）のTNM分類やFIGO（国際産科婦人科連合）の分類に基づいて決定されます。
ステージ4は、がんが子宮外に広がり、以下のような転移を伴う状態を指します。

ステージ	分類	特徴
ステージ4A	局所進行	がんが膀胱や直腸粘膜に浸潤している
ステージ4B	遠隔転移	骨や肺、肝臓などの遠隔臓器に転移している

骨転移を伴う場合は、通常ステージ4Bに分類されます。

骨転移は、がん細胞が血液やリンパの流れを通じて骨に到達し、骨の破壊や異常な骨形成を引き起こす状態です。
骨転移を起こすと以下のような症状が現れることがあります。

症状	特徴
骨の痛み	転移した部位に強い痛みが生じる
骨折リスクの増加	骨の強度が低下し、わずかな衝撃でも骨折しやすくなる
神経圧迫	脊椎に転移した場合、神経を圧迫し、しびれや麻痺を引き起こすことがある
高カルシウム血症	骨の破壊によってカルシウムが血液中に過剰に放出され、倦怠感や意識障害を引き起こすことがある

骨転移を伴う子宮体がんの治療は、がんの進行を抑えつつ、患者様のQOL（生活の質）を向上させることが重要となります。標準治療として以下の選択肢があります。

治療方法	概要
化学療法	進行性の子宮体がんに対して抗がん剤治療が行われる。使用薬剤: ・カルボプラチン＋パクリタキセル：標準的な治療レジメン・ドキソルビシン＋シスプラチン：特定の病態に応じて使用 ※骨転移が進行している場合、効果が限定的となることがある。
放射線治療	骨転移による痛みや神経症状の緩和を目的に実施。局所的にがん細胞を死滅させ、骨の脆弱化を防ぐ効果が期待される。
骨修復をサポートする治療	骨転移の進行を抑えるために使用される薬剤：・ビスホスホネート製剤（ゾレドロン酸など）：骨の破壊を抑制し、骨折リスクを低減・デノスマブ（抗RANKL抗体）：骨吸収を抑制し、骨転移の進行を防ぐ
緩和ケア	がんの進行に伴う痛みの管理や生活の質の向上を目的とし、モルヒネなどの鎮痛剤を用いた疼痛管理が行われる。

光免疫療法は、光感受性物質をがん細胞に集積させ、特定の波長の光を照射することでがん細胞を選択的に破壊する治療法です。
子宮体がんにおいては、骨転移がある場合でも局所的な腫瘍縮小が期待できる可能性があります。

光免疫療法の特徴
正常な細胞への影響を抑えつつ、がん細胞のみを標的にする。
低侵襲であり、副作用が比較的少ない。
他の治療との併用が可能。

ただし、光免疫療法はすべての患者様に適応できるわけではなく、医師の判断のもとで適用の可否が決定されます。