手遅れと診断された膵臓がんも諦めないための全知識「現代治療の選択肢」

手遅れと診断された膵臓がんも諦めないための全知識「現代治療の選択肢」

膵臓がんは発見が極めて難しく、診断時の約50~60%がステージⅣ(遠隔転移あり)の進行がんともいわれています。
この疾患は主に膵管上皮由来の腺がん(PDAC)で、KRAS変異などの遺伝子異常が異常増殖を駆動します。

手遅れと診断される状態とは、ステージⅣの末期がんを指し、がんが肝臓、肺、腹膜、骨などに転移し、根治的手術が不可能な状態です。
この段階では、腫瘍負荷が極めて高く、全身状態が急速に悪化し、中央生存期間は6〜12ヶ月程度と予後が厳しいとされます。
しかし、「手遅れ」は治療の終わりを意味しません
2025年現在、化学療法、分子標的薬、免疫療法、光免疫療法などの革新的治療により、生存期間の延長とQOL(生活の質)の向上が可能となっています。
本記事では、手遅れ診断後の知識を網羅し、諦めないための具体的な治療方法などを解説します。

手遅れ状態の診断とその特徴


手遅れとされる膵臓がんは、ステージⅣ(M1:遠隔転移陽性)に分類
されます。
主な転移先は肝臓(50%以上)、腹膜播種、肺、骨で、腫瘍が急速に増大し、全身症状が顕著に現れます。
診断はCT/MRI、EUS(内視鏡超音波)、PET-CT、腫瘍マーカー(CA19-9)の上昇、組織バイオプシーで確定されます。
典型的な症状は以下の通りです。

●持続的な腹痛:がんの浸潤や神経圧迫による。
●黄疸:胆管圧迫による皮膚・白目の黄染、かゆみ。
●大量腹水・腹部膨満感:腹膜播種による滲出液蓄積。
●体重減少・悪液質:栄養吸収障害と炎症性サイトカインの影響。
●食欲不振・倦怠感:代謝異常と全身炎症。
●血栓症(Trousseau症候群):がんによる凝固異常。

これらの症状はQOLを急激に低下させますが、5年生存率は3%前後ながらも、分子標的薬や新治療の進展により一部で長期生存が報告されています。

現代の標準治療:化学療法の進化と限界

ステージⅣ膵臓がんの第一選択は全身化学療法であり、腫瘍縮小と生存延長を目指します。
2024年にFDA承認されたNALIRIFOX(ナノリポソームイリノテカン + 5-FU/レボホリナート + オキサリプラチン)は新標準となり、従来のゲムシタビン + ナブパクリタキセル(GnP)と比較して中央生存期間を延長しています。
PS 0-1の患者様に適し、消化器毒性の管理が重要となります。
FOLFIRINOX(5-FU + レボホリナート + イリノテカン + オキサリプラチン)は、若年・体力良好者に適していますが、神経毒性や骨髄抑制が課題です。
ゲムシタビン + ナブパクリタキセル(GnP)はPS 0-2向けであり、間質ストローマの改善効果があります。
第二選択以降ではNAPOLI-3レジメン(ナノリポソームイリノテカン)が用いられます。
限界として、KRAS変異(90%以上)による耐性獲得と、膵臓がん特有の密なストローマによる薬剤到達不良が挙げられます。
支持療法として、痛み管理(オピオイド)、黄疸対策(ステント留置)、腹水穿刺、CART(腹水濾過濃縮再静注)、栄養サポート(経腸栄養)がQOL向上に不可欠です。

標的療法と免疫療法:遺伝子変異を狙う新時代

手遅れ状態でも、腫瘍の分子プロファイルに基づく標的療法が生存期間を劇的に変える可能性があります。

●MSI-H/dMMR型(1〜2%):PD-1阻害薬ペムブロリズマブでORR 20%以上。
●KRAS G12C変異(1〜2%):ソトラシブやアダグラシブでmPFS 4ヶ月超。
●KRAS G12D阻害薬(RMC-9805):第I相試験でPDACの約40%をカバーする可能性。
●NRG1融合遺伝子:ゼノクツズマブが有効。

免疫療法は単独では効果が限定的ですが、CAR-T細胞療法やmRNAワクチンが第I/II相で有望です。

光免疫療法:選択的破壊の革新

当院では、手遅れ膵臓がんを含む末期がんの局所制御に特化した光免疫療法を提供しています。
この治療は、光療法と免疫療法を組み合わせた先進医療で、がん細胞に選択的に集積する光感受性物質を点滴で投与した後、特定の波長のレーザー光を照射することで、活性酸素を発生させがん細胞を特異的に破壊します。
正常細胞への影響を最小限に抑え、がん細胞の抗原放出を促進して免疫応答を活性化する点が特徴です。

当院では、設立以来6年にわたる豊富な治療実績を基に、患者様の状態に合わせた幅広い治療パターンを展開しています。
がんの部位、大きさ、個数、場所を詳細に評価し、最適な薬剤、機器、照射時間、照射方法を選択します。
標準治療との併用も可能であり、免疫チェックポイント阻害薬との相乗効果を期待したアプローチも取り入れています。
副作用は髪の抜け毛や重い全身症状がなく、日常生活を続けながら治療を受けられるため、高齢者や転移がん・末期がんの患者様に適しています。
光免疫療法の主な利点は以下の通りです。

●高い選択性:がん細胞のみを標的とし、正常組織へのダメージを抑える。
●副作用の少なさ:身体負担が軽く、QOLを維持しやすい。
●併用適性:化学療法や免疫療法との組み合わせで効果増幅。
●広範な適応:再発・転移がんや末期がんに有効。

以下より、当院の光免疫療法の詳細をご確認いただけます。

患者支援:QOL向上と心理的ケア

治療選択の基盤は患者中心主義となります。
痛み管理(オピオイド)、栄養サポート(経腸栄養)、精神的ケア(カウンセリング)が不可欠です。

まとめ

手遅れと診断された膵臓がんは確かに厳しい疾患ですが、NALIRIFOX、KRAS阻害薬、光免疫療法などの現代治療選択肢により、生存延長とQOL向上の可能性が広がっています。
医療チーム・家族と協力して最適な治療プランを構築することが大切です。
当院の光免疫療法に関する疑問などは、些細なことでもお気軽にご相談ください。

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