30代の乳がんについて
乳がんは、乳房にある乳腺にできる悪性腫瘍です。乳房のほとんどが母乳をつくる乳腺でできており、乳腺は乳頭を中心に放射状に並ぶ15~20の乳腺葉で構成されています。乳腺葉は、母乳をつくる”小葉”と、小葉でつくられた母乳を乳頭まで運ぶ細い枝状の”乳管”に分けられます。
乳管で乳がんは多く発生するため、乳房の変化に気付かないままでいると、がん細胞が乳腺の外へ広がり他の部位へ転移する可能性もあります。
乳がんの罹患率は基本的に年齢が上がるにつれてリスクが高くなりますが、比較的若い年代でもがんに罹患する可能性が高いという特徴があります。
女性の乳がん罹患者の中で、30~34歳は約25%、35~39歳は約36%という罹患率となっていますので、30代の方でも乳がんに罹るリスクがあることが分かります。
特に35歳未満の乳がんは、若年性乳がんと呼ばれ特徴的な病理学的特徴と臨床的挙動を示します。
30代の乳がんの特徴
30代の乳がんの発生率は、40代以上と比較すると低いですが、発症した場合高齢女性と比べて進行が早く、予後が悪い傾向が多いです。
そして、若年層での乳がんは、ホルモン受容体陰性やHER2陽性など、より攻撃的なタイプの乳がんであることが多いのが特徴です。
また、遺伝的な要素や家族性乳がんの割合が高いことも特徴の一つといえます。
30代の乳がんの発見と治療
30代の方は、高齢者と比べて腫瘍の増殖が早く診断時には進行している場合が多いです。
これは、マンモグラフィーなどの乳がん検診の対象は40歳以上の場合が多いため、40歳未満の女性が無症状で検査を受ける機会は少ないことが一因と考えられています。
そのため、30代女性の乳がんは、自然に触ってしこりに気がついたり乳頭からの分泌物などに気づいて、乳がんの発見に繋がることが多いです。
30代の乳がんの治療は、病期、腫瘍の種類、患者様の健康状態、個々の治療への反応など、多くの要素に基づいて決定されます。
また、治療の目的以外にも、治療後の生活の質や長期的な健康への影響を考慮する必要があります。
これには、生殖機能の温存、妊娠や出産に対する影響、身体的・精神的支援なども含まれています。
一般的な治療法には、手術、放射線治療、化学療法、ホルモン療法、免疫療法などがあります。
光免疫療法と30代の乳がん
30代乳がん治療の選択肢として光免疫療法が挙げられます。
光免疫療法は、特定の波長の光を用いてがん細胞を選択的に攻撃する治療法です。
この治療法は、健康な細胞へのダメージを抑えつつ、がん細胞を選択的に攻撃することが可能です。
その為、副作用が少ない点が利点の一つに挙げられます。
光免疫療法が適用できるかどうかは、がんの種類や進行状況、患者様の体調などによります。
以下より当該治療に関する詳細をご確認頂けます。
まとめ
30代の乳がん治療は、がんの種類や進行状況に応じた適切な治療選択だけでなく、精神的・生理的な側面も考慮する必要があります。
生殖機能への影響(今後の妊娠の有無)や心理的なサポートなど、治療の過程において患者様それぞれのニーズに合わせた治療法が求められます。
しかし、早期発見・治療を行うことで治せない病気ではありません。
30代の方は、セルフチェックを月に一回定期的に行うとった自衛の意識を持っておきましょう。
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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