進行がんである卵巣がんステージⅢ
卵巣がんは、その名の通り卵巣に発生した悪性腫瘍であり、発生する部位によって、上皮性腫瘍、胚細胞性腫瘍、性索間質性腫瘍に分類されます。
また、組織型によって主に漿液性がん、明細胞がん、類内膜がん、粘液性がんの4つに分類されます。
これらの組織型によって、進行スピードや化学療法の効き方が異なるという特徴があります。
そして、卵巣がんは進行度によって、ステージⅠ期からⅣ期に分かれ、Ⅲ期やⅣ期は進行がんと呼ばれます。
この記事では、ステージⅢ期の卵巣がんに関する症状や診断方法、治療法などを解説します。
併せて、当院の提供する光免疫療法についても治療法の中でご紹介します。
卵巣がんステージⅢの状態
卵巣がんのステージⅢ期とは、がんが卵巣や骨盤内の臓器だけに留まらず腹膜にばらまかれたり(腹膜播種)、腹膜の外側にある後腹膜リンパ節に転移している状態となります。
さらに、後腹膜リンパ節への転移の大きさや骨盤外の顕微鏡的播種の大きさによって、ⅢA1(i,ii)期、ⅢA2期、ⅢB期、ⅢC期に細分化されます。
卵巣がんステージⅢの症状
卵巣がんは、サイレントキャンサーとも呼ばれ、自覚症状が少ないがんです。
ステージⅢまで進行しても症状が出ないこともありますが、代表的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
症状 | 説明 |
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1. 腹部の圧迫感や痛み |
卵巣がんが進行すると、肥大したがんが周りの臓器を圧迫し、腹部の圧迫感や痛みといった症状が出ることがあります。 また、稀にですが卵巣捻転や卵巣破裂が発生し、激しい痛みを引き起こすこともあります。 |
2. 腹水の貯留による張り |
がんが腹膜へ浸潤・転移すると、腹膜播種による腹水の貯留を引き起こします。 腹水の貯留により、お腹が大きく突き出て張ることがあります。お腹の張りは太っただけと見落とされがちなので、注意が必要です。 |
3. 便秘や頻尿 | 卵巣がんの肥大化や腹水の貯留により腸や膀胱が圧迫されると、便秘や頻尿が生じるケースがあります。 |
4. 短期間の体重増減 |
卵巣がんがすると、腹水の貯留によって体重が増加したり、がんによる全身の炎症反応によって体重が減少することがあります。 短期間で体重が増減した場合には、卵巣がんの疑いがあります。 |
5. 息切れ・呼吸困難 | 腹水の量が増えること肺の外側に胸水が溜まってしまい、肺や心臓が圧迫され、息切れ・呼吸困難・胸痛・倦怠感などが生じます。 |
卵巣がんの診断
診断 | 説明 |
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1. 内診・触診 |
内診・触診とは、腟から指を入れて子宮や卵巣を直接触り、腫瘍の有無や卵巣の腫れ・炎症などを調べる検査です。 下腹部の左右どちらかにしこりが発見された場合、卵巣がんが疑われます。 |
2. 画像検査 |
さまざまな画像検査が用いられ、腫瘍の状態、周囲の臓器への広がり方や転移の有無なども調べます。 – 超音波検査: 高周波音波を用いて腹部の内部構造を観察し、腫瘍の有無や大きさを確認します。 – CTスキャン: X線を用いて複数の断層画像を生成し、腹部の詳細な構造を観察します。遠隔臓器への転移が把握しやすい検査です。 – MRI: 強力な磁気を用いて体の断面を画像化し、卵巣がんの状態を詳しく調べます。がんの大きさや形、良性・悪性の推定が可能な検査です。 これらの画像検査により、腫瘍の大きさや周囲の組織に与える影響が評価されます。 |
3. 腫瘍マーカー(血液検査) |
腫瘍マーカーとは、体内にがんがある場合に異常値を示す血液検査の項目となります。 卵巣がんの疑いがある場合、CA-125の数値が高くなる傾向にあります。 しかし、腫瘍マーカーの数値だけでは卵巣がんと確定することはできないため、CTやMRI、病理検査などの結果と組み合わせて判断されます。 |
4. 手術(病理検査) |
腫瘍の摘出だけでなく、病理検査を行うためにも初回手術が行われます。 手術によって卵巣を摘出し、病理検査を行うことでステージや悪性度などが確定診断されます。 |
卵巣がんステージⅢの治療法
進行がんであっても、卵巣がんの基本治療は手術と化学療法の組み合わせとなります。
治療法 | 説明 |
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1. 手術 |
どの進行期においても、基本的には最初に手術を行い、できるだけがんを取り除きます。 両側の卵巣と子宮を摘出し、卵巣がんの広がりが最も起こりやすい大網を切除します。 そして、通常は後腹膜リンパ節郭清も行われます。 |
2. 化学療法 |
手術の効果を高めることを目的として、基本的には手術後に化学療法を行います。 進行がんに対しては、分子標的薬を併用することもあります。 卵巣がんが初期段階で発見された場合でも、手術後に化学療法を行うことが多いです。 しかし、がんが広範囲にある場合や全身状態が悪い場合などは、手術前に化学療法を行ってがんの縮小化を図り、その後手術を行うこともあります。 |
3. 放射線療法 |
卵巣がんが再発して、有効な化学療法が無い場合に、稀に放射線療法が行われることがあります。 放射線療法は、病巣が局所に留まっている場合に限定されます。 また、再発・転移症例における症状の緩和を目的として、放射線療法が検討されることがあります。 |
4. 維持療法 |
卵巣がんを治療した後に、がんの再発や成長を阻害するための治療を維持療法といいます。 維持療法には分子標的薬が用いられ、血管新生阻害薬とPARP阻害薬の2種類があります。 |
光免疫療法
光免疫療法は、特定の薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する治療法です。
薬剤はがん細胞に選択的に集積し、その後特定の波長の光を照射することで、がん細胞を破壊する仕組みとなっています。
この治療法は、副作用が少なく、患者様の負担を軽減することが期待されています。
光免疫療法は、他の治療法と組み合わせて使用されることもあり、相乗効果が期待出来ます。
ステージⅢの卵巣がん治療でお困りの方は、当院の光免疫療法を一度ご検討ください。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
予後
予後 | 説明 |
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1. 生存率 |
ステージⅢの卵巣がんの生存率は、約45%となっており高いとはいえません。 しかし、新薬の開発などによって5年生存率は改善されているため、参考程度に考えておくのが良いでしょう。 |
2. 再発の可能性 |
卵巣がんは再発率の高いがんであり、進行がんでは2年以内には約50%が、5年以内には70%以上が再発するとされています。 また、再発後の生存期間の中央値は約2年と短く、再発後は根治を目指すことが困難となり予後は悪いです。 |
3. 生活の質 |
卵巣がんの治療には副作用が伴うことがあり、これが生活の質に影響を与える可能性があります。 例えば、化学療法による吐き気や疲労感、手術に伴う身体的な制限などが挙げられます。 そのため、サポートとケアが重要であり、患者とその家族は医療チームと協力してこれらの課題に対処する必要があります。 生活の質の向上を目指すために、栄養管理や心理的なサポートも重要です。 |
4. 専門家との相談 |
卵巣がんの治療や予後は個人の状態によって異なります。 患者は専門の医師や医療チームとの密な相談が不可欠です。 治療計画や経過観察は患者に合わせて調整され、最適なサポートが提供されるべきです。 |
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次 がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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