大腸がんの再発転移と光免疫療法「詳細な解説と治療戦略」
再発転移の概要とその重要性
大腸がんは日本で最も罹患数の多いがんの一つで、年間約15万人が新たに診断されています。
初期治療(手術+補助化学療法)が成功しても、ステージⅡで約20〜30%、ステージⅢで約30〜50%の患者様に再発・転移が起こるとされています。
再発は原発巣や局所リンパ節にがんの再出現、転移は肝臓(最も多い)、肺、腹膜、骨・脳などへの遠隔転移を指します。
一度再発転移すると5年生存率は20〜30%に低下しますが、近年の分子標的薬・免疫療法などの進歩と積極的な局所治療により、長期生存や根治例も増えています。
再発転移の原因とリスク因子
再発転移の主な原因は、手術時に取りきれなかった微小ながん細胞(微小残存病変)が血液やリンパ管を通じて広がり、休眠状態から覚醒して増殖することです。
リスクを高める主な因子として、以下のようなものが挙げられます。
●リンパ管・静脈侵襲(LVI/VI)
●低分化型・粘液がん
●KRAS/BRAF変異
●リンパ節転移数が多い(N2)
●術後CEAが高値、またはCEAが下がりきらない
●ctDNA(循環腫瘍DNA)が陽性
定期フォローアップ(3〜6ヶ月ごとのCEA・CT、内視鏡)は再発の早期発見に極めて重要となります。
再発転移で現れやすい症状
再発転移の多くは無症状で検査で発見されますが、進行すると以下のような症状が出現します。
●肝転移
右上腹部痛、食欲不振、体重減少、黄疸(胆管圧迫時)、腹部膨満感
●肺転移
持続する咳、血痰、息切れ、胸痛
●腹膜播種
腹水による腹部膨満、腸閉塞(嘔吐・便秘)、下腹部痛
●骨転移
腰痛・背部痛、四肢痛、病的骨折、神経圧迫によるしびれや麻痺
●脳転移
頭痛、めまい、吐き気、意識障害、けいれん
●全身症状
原因不明の発熱、極度の倦怠感、悪液質(進行した体重減少と筋肉減少)
これらの症状が出現した場合は速やかに主治医または専門医に相談し、CT・PET-CT・MRIなどの精密検査を受けることが重要です。
再発転移の治療方法
大腸がんは、再発・転移の状況に応じて以下のように治療を選択します。
●限局性再発や少数の転移
手術、RFA(ラジオ波焼灼)、SBRT(定位放射線治療)で根治を目指します。肝・肺転移が少数であれば5年生存率30〜50%も可能です。
●多発転移(全身性)
第一選択はFOLFOX/CAPOXまたはFOLFIRIに、ベバシズマブまたは抗EGFR抗体(セツキシマブ/パニツムマブ)を組み合わせます。
●遺伝子変異に応じた治療
・MSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性) → ペムブロリズマブ単剤
・BRAF V600E変異 → エンコラフェニブ+セツキシマブ
・KRAS G12C変異 → スロタシブ/アダグラシブ+抗EGFR抗体
・HER2陽性 → トラスツズマブ デルクステカン
●第三選択以降
TAS-102(ロンサーフ)+ベバシズマブ、レゴラフェニブなどで生存期間を延長します。
光免疫療法とその効果
この治療法は、特定の薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する方法です。
光免疫療法は大腸がんの再発転移に対しても、適応可能です。
光免疫療法の利点は、正常な細胞へのダメージを抑えながら、がん細胞を選択的に攻撃できる点にあります。
また、光免疫療法は、他の治療法と併用することで、相乗効果が期待できます。
しかし、光免疫療法にも副作用やリスクがあるため、専門医との相談が必要です。
当院では、設立以来6年にわたる豊富な治療実績を基に、患者様の状態に合わせた幅広い治療パターンを展開しています。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
まとめ
大腸がんの再発転移は決して「終わり」ではありません。
個別化治療と、当院の光免疫療法を組み合わせることで、生存期間の大幅な延長と「自分らしい生活」の維持を目指せます。
再発を疑う症状や検査値の変化がありましたら、早急な対処が必要となります。
当院では患者様とご家族の希望に寄り添い、最善の治療戦略を提案させて頂きます。
大腸がんや光免疫療法に関して、些細なことでもお気軽にご相談ください。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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