乳がんのステージ(病期)分類
乳がんのステージ(病期)は、しこりの大きさ、リンパ節への転移状況、他の臓器への転移の有無によってステージ0~ステージⅣに分類されます。
ステージⅡの乳がんは、ステージⅡA期、ステージⅡB期と細分化され、分類される要素は以下の通りです。
・ステージⅡA:
①しこりの大きさが2~5cmかつ腋窩リンパ節や他の臓器への転移無し。
②しこりの大きさが2cm以下かつ腋窩リンパ節への転移有り、他の臓器への転移無し。
・ステージⅡB
①しこりの大きさが2~5cmかつ腋窩リンパ節への転移有り、他の臓器への転移無し。
②しこりの大きさが5cm以上かつ腋窩リンパ節や他の臓器への転移無し。
乳がんの症状
乳がんが発生した際に起こる代表的な症状は以下となります。
以下のような症状に気がついた場合、速やかに医療専門家に相談する必要があります。
特に、ステージⅡになるとしこりが2cm以上となるため、セルフチェックでも容易に発見できるようになります。
症状 | 説明 |
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しこりの感触 | 乳がんの症状の中で最も特徴的なものは、乳房内にできる硬くて動かないしこりです。しこりはセルフチェックによって見つかることが多いため、定期的な自己検診が重要となります。乳がんのしこりは、基本的に痛みを伴いません。 |
皮膚の変化 | 乳房の皮膚が引きつれを起こしていたり、くぼんでいる場合は乳がんの可能性があります。皮膚に赤みがあったり熱感が伴う場合、炎症性乳がんが疑われます。 |
乳房・乳頭の変形 | 乳がんの進行と共に乳房の形状が変化したり、左右の乳房の大きさが不均等になることがあります。また、乳頭が陥没したり、向きが変わることもあります。 |
乳頭からの分泌物 | 乳頭から血液が混じった分泌物や、粘り気があったり異常な臭いを伴うものは乳がんの疑いがあります。これは、異常な細胞の成長を示唆する重要なサインとなります。 |
検査と診断
乳がんが疑われる場合、検査と診断によって、乳がんの有無やステージ(病期)を判断します。
検査と診断 | 説明 |
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視診・触診 |
原理と目的: 視診と触診によって、乳がんの可能性がある乳房の異常を確認します。 実施方法: 乳房のしこりやリンパ節の腫れなどを確認します。また、乳房の形の変化や左右の大きさの違い、乳頭の陥没や異常な分泌物の有無などを観察します。 利点と制限: 視診と触診だけでは診断は出来ないため、必ずマンモグラフィーを併せて受ける必要があります。 |
マンモグラフィー |
原理と目的: マンモグラフィーは、乳房をX線で撮影する画像診断法です。この検査は乳がんの早期発見を目的とし、乳房組織の異常やしこりを検出します。 実施方法: 患者は乳房を特定の位置に圧迫し、それによってX線で撮影された画像を得ます。これにより、異常な密度やしこりが視覚化されます。 利点と制限: 早期のがんや非常に小さなしこり、乳がんの石灰化を検出するのに有効です。しかし、乳腺組織の密度が高い場合や若い患者では発見が難しいことがあります。 |
超音波検査(エコー検査) |
原理と目的: 超音波検査では、乳房に超音波を当てることで反射波を画像に映し出し、乳房内部の状態を知ることができます。これにより、マンモグラフィだけでは得られない詳細な情報が得られます。 実施方法: ジェルを乳房に塗り、プローブと呼ばれるセンサーを当てて、モニターに乳房の断層面の画像を映し出します。これにより、しこりの性状や形状が詳細に確認できます。 利点と制限: 基本的にマンモグラフィーと併せて行われ、特に乳腺組織が密度が高い場合や若い患者において補完的な情報を提供します。乳がんの石灰化を見つけることが難しいというデメリットがあります。 |
生検(組織診) |
目的と種類: 生検は、異常な領域が発見された場合に行われ、異常な細胞や組織の詳細な検査を可能にします。生検の結果は、画像検査の結果と組み合わせて、乳がんの確定診断に用いられます。 手法: 針生検や手術的生検などがあり、乳がんでは基本的に針生検が行われます。針を刺して組織の一部を採取し、病理学的な検査が行われます。 利点と制限: 生検は確定診断の一つとしても用いられ、患者の治療計画を決定する上で重要です。ただし、一部の小さなしこりでは取得した組織が悪性であるかどうか確認するまでが時間がかかることがあります。 |
治療法
治療法 | 説明 |
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手術 |
手術の目的: 手術は、腫瘍の切除が主な治療目的となります。乳がんの腫瘍が小さい場合、手術を先行して行い、その後放射線治療や薬物療法を行います。乳がんの腫瘍が大きい場合は、薬物療法を先に行い、その後に手術を行います。 手術の種類:
手術後の検査: 切除された組織は病理学的に検査され、がんの種類や進行度が確認されます。 |
放射線治療 |
治療の目的: 乳房温存術後は、放射線療法が必ず行われます。乳房切除術後は、再発や転移の可能性がある場合のみ、放射線治療を行います。再発や転移を防ぐ目的があります。 照射の対象: 通常は手術した乳房やリンパ節領域に照射が行われます。局所的ながん細胞の残存を最小限に抑えることが狙いです。 治療期間: 通常、数週間にわたり放射線治療が行われます。 |
薬物療法 |
治療の目的: 乳がんのステージⅡでは、腫瘍が大きい場合、手術前に薬物療法を行うことで乳がんを小さくします。腫瘍が小さい場合は、再発を防止するために手術後に行われます。 投与方法: 通常、点滴によって抗がん剤が静脈から投与されます。 手術前の化学療法: がんを縮小させ、手術の際により少ない範囲を切除することが可能です。 手術後の化学療法: 残存細胞を排除し、再発のリスクを減少させることが目的です。 |
光免疫療法
光免疫療法は、特定の薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する治療法です。
薬剤はがん細胞に選択的に集積し、その後特定の波長の光を照射することで、がん細胞を破壊する仕組みとなっています。
この治療法は、副作用が少なく、患者様の負担を軽減することが期待されています。
光免疫療法は、他の治療法と組み合わせて使用されることもあり、相乗効果が期待出来ます。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
予後
項目 | 説明 |
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5年生存率 |
乳がんのステージⅡにおける5年生存率は、約95%と高い数値となっております。 早期発見・治療によって多くの患者が、長生きすることが可能です。 |
再発のリスク |
治療が成功した場合でも、乳がん患者は再発のリスクに直面します。 再発は、がん細胞が残っていたり、新たながんが発生したりする可能性があります。 再発を最小限に抑えるためには、定期的な検査と医師のフォローアップが不可欠です。 これによって早期に再発を検知し、適切な対応をとることができます。 |
心理的サポート |
乳がんの治療は患者にとって身体的な負担だけでなく、精神的な影響も大きいです。 治療に伴うストレスや不安、うつ症状などが生じる可能性があります。 そのため、心理的なサポートが非常に重要です。 患者はサポートグループや心理療法を活用することで、感情や心理的な健康を維持し、治療に積極的に取り組むことができます。 |
個別の治療計画 |
重要なのは、乳がんの治療は患者の個別の状況に基づいた計画が必要であることです。 異なる患者は異なる腫瘍の性質や健康状態を持っており、それに基づいて最適な治療法が選択されるべきです。 医師との協力が不可欠であり、患者が治療に関する選択肢やリスク、利点について理解し、共に治療計画を進めていくことが重要です。 |
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次 がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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