男性乳がんとは
乳がんは、一般的に女性が罹る疾患ですが、男性の乳房に発生することもあります。
男性乳がんは、乳がん全体の約1%を占めるといわれており、米国データでは1000人に1人の割合で生涯を通じて罹患すると発表されています。
女性と比べるセルフチェックや定期検診を行う人が少ないため、診断された時には既にかなり進行している場合が多いです。
また、明確な理由は分かっていませんが、男性の方が乳がんにおける死亡率は高いことが報告されています。
この記事では、男性の乳がんの原因や症状、診断方法、治療法、そして光免疫療法について詳しく解説します。
男性乳がんの原因
女性の乳がんの発生には、エストロゲン(女性ホルモン)の影響を大きく受けますが、男性乳がんの原因はまだ具体的には解明されていません。
しかし、男性乳がんは年齢関係なく発生しますが、特に60~70代の男性に多いことが分かっています。
また、乳がんになったことがある近親者が1人以上いる場合では、そうではない男性と比べて乳がんの発生リスクが2倍になるといわれています。
そして、過去に胸部・乳房に放射線療法を受けたことがある場合や、ホルモンバランスが乱れて体内の女性ホルモンの量が多い場合も、それがリスク因子になると考えられています。
その他にも、BRCA1やBRCA2という遺伝子変異がある、肥満、精巣以上などもリスク因子として挙げられます。
検査方法
男性乳がんの検査方法は、基本的には女性と同様です。
最初にマンモグラフィー検査を実施した後、超音波検査(エコー検査)を行います。
25歳未満の若年男性に対しては、超音波検査を先に実施することもあります。
検査によって異常が認められた場合、針生検を行って診断を確定させます。
この病理診断によって、ホルモン受容体やHER2タンパクの発現についても調べます。
その他にも、CT検査やFDG-PET検査によってより詳しく状況を確認することもあります。
症状
書状としては、腫瘤(しこり)の出現や、乳頭からの出血、乳頭の変形、皮膚潰瘍、腋の下(腋窩リンパ節)のしこりなどが挙げられます。
女性と同様に腫瘤は痛みを伴わないことが多く、乳腺が女性より少ないため乳頭近くに出現することが多いです。
これらの症状を自覚した男性は、早急に医師の診断を受けることが重要です。
治療法と光免疫療法
男性乳がんの治療法は、基本的に女性の乳がんと同様と考えます。
そのため、乳がんのステージや種類に応じて、手術、放射線療法、薬物療法などから選択されます。
がんを切除可能であれば手術を優先して行い、状況に応じてその後薬物療法を追加で行います。
切除が難しい場合には、薬物療法や緩和ケアが検討されます。
光免疫療法
光免疫療法とは、特定の薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する方法で、副作用が少ない利点があります。
性別や年齢、がんの種類に影響を受けにくいため、男性乳がんに対しても有効な治療法となる可能性があります。
他の治療法と組み合わせることで、相乗効果も期待できるため、男性乳がんの治療でお悩みの方は一度ご相談ください。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
予防と生活習慣
男性は、女性のように乳がんの定期検診は実施されていません。
そのため、セルフチェックや病院での検診を定期的に行うことが推奨されます。
”日本遺伝性乳がん卵巣がん総合診療制度機構”では、遺伝的リスクの高い男性に対して、以下のようなことを推奨しています。
●35歳以上になったら1年に1回※
●マンモグラフィーを受ける
●専門医での視診・触診の検診を受ける
また、環境要因として健康的な生活習慣の維持も重要となります。
適度な運動、バランスの良い食事、禁煙、アルコールの摂取制限などが予防に役立ちます。
まとめ
男性の乳がんは、女性と比べると発生する確率は低いですが、早期発見が遅れて発見時には進行してしまっていることも少なくありません。
特に遺伝的な要素が強いため、家族歴がある男性は、セルフチェックや病院での検診を定期的に受けることをお勧めします。
また、男性乳がんと診断された場合には、光免疫療法も有効な治療となる可能性があります。
副作用が少ないというメリットがあり、他の治療法と組み合わせることも可能な治療法となります。
男性乳がんでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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