1. 子宮頸がんの進行とステージ4の特徴
子宮頸がんは、子宮の入り口である子宮頸部に発生するがんであり、主にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因とされています。
進行度はステージ(I~IV)に分類され、ステージ4(IV期)は、がんが子宮頸部を超えて広がり、遠隔転移を起こしている状態を指します。
ステージ4の子宮頸がんには以下の2つの分類があります。
ステージ | 定義 |
---|---|
ステージIVA | がんが膀胱や直腸に広がっている状態 |
ステージIVB | 肺、肝臓、骨などの遠隔臓器に転移している状態 |
骨転移がある場合は、ステージIVBに分類されます。これはがん細胞が血流やリンパを介して骨に達し、増殖していることを示しています。
2. 骨転移の症状
骨転移が起こると、以下のような症状が現れることがあります。
症状 | 説明 |
---|---|
骨の痛み | 特に腰や背中、大腿骨などに発生しやすい |
骨折しやすくなる | 病的骨折が起こる可能性が高くなる |
高カルシウム血症 | がん細胞が骨を破壊することで血中カルシウム濃度が上昇し、倦怠感や意識障害を引き起こすことがある |
神経症状 | 脊椎への転移による脊髄圧迫が起こると、しびれや歩行困難などの神経症状が現れる |
3. ステージ4の標準治療とその課題
ステージ4の子宮頸がんに対する標準治療には、以下の方法があります。
治療法 | 説明 |
---|---|
化学療法(抗がん剤治療) |
– シスプラチン+パクリタキセルなどの併用療法が行われることが多い。 – 免疫チェックポイント阻害剤(ペムブロリズマブなど)が使用される場合もある。 – 進行がんでは延命効果を目的とした治療が中心となる。 |
放射線治療 |
– 骨転移による痛みを軽減するためにピンポイントで放射線を当てることがある。 – 腫瘍の縮小によって神経圧迫を軽減し、生活の質(QOL)を向上させる目的で行われる。 |
支持療法(緩和ケア) |
– ビスホスホネート製剤(ゾレドロン酸など)やデノスマブ(骨吸収抑制薬)を用いて骨転移による痛みや骨折のリスクを抑える。 – 痛みの管理にはオピオイド系鎮痛薬(モルヒネ、フェンタニルなど)が使用されることがある。 |
4. 標準治療が難しい場合の選択肢
骨転移を伴うステージ4の子宮頸がんでは、標準治療が適応しにくいケースもあります。
例えば、強い副作用が予想される場合や、既存の治療に効果が見られない場合です。
そうした場合、他の選択肢を検討することが重要になります。
光免疫療法の可能性
光免疫療法は、がん細胞に集まる特殊な薬剤を投与し、特定の波長の光を照射することでがん細胞を破壊する治療法です。
項目 | 説明 |
---|---|
1. 仕組み |
薬剤:光に反応する薬剤が、がん細胞に集積する。 光の照射:特定の波長の光を当てると、がん細胞内で活性化し、細胞膜を破壊する。 |
2. 期待される効果 |
副作用が少ない:正常な細胞への影響が少なく、標準治療が難しい場合でも試せる可能性がある。 局所的な治療が可能:手術、抗がん剤、放射線などが困難な部位にも適用できる場合がある。 |
まとめ
子宮頸がんのステージ4で骨転移がある場合、標準治療(化学療法・放射線・支持療法)が中心となります。
しかし、標準治療が難しいケースでは、副作用が少ない治療法として光免疫療法の選択肢があることも理解しておくことが重要です。
患者の状態に応じた適切な治療法を選択し、生活の質(QOL)を考慮した治療方針を検討することが大切です。医師と相談しながら、最適な治療を進めていくことをおすすめします。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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