1. 子宮頸がん(ステージ4)とは
子宮頸がんは子宮の入口である子宮頸部に発生するがんです。
初期段階では自覚症状が少なく、検診によって発見されることが多いですが、進行すると他の臓器へ転移する可能性があります。
ステージ4は子宮頸がんの最も進行した段階であり、大きく以下の2つのサブカテゴリーに分けられます。
ステージ | 説明 |
---|---|
ステージ4A | がんが膀胱や直腸などの隣接する臓器に広がっている状態。 |
ステージ4B | 肺、肝臓、骨、リンパ節など遠隔の臓器に転移がみられる状態。 |
この段階では、がんが局所的な治療では対応できない範囲まで広がっているため、治療法の選択肢が限られます。
2. 胸水と子宮頸がんの関係
ステージ4Bの子宮頸がんでは、遠隔転移が起こることが多く、肺や胸膜にがんが広がることで胸水が発生することがあります。胸水とは、肺と胸壁の間に異常に溜まった液体のことを指し、「がん性胸膜炎」によって生じることが多いです。胸水が溜まると、以下のような症状が現れることがあります。
症状 |
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息切れや呼吸困難 |
慢性的な咳 |
胸の痛み |
疲労感や倦怠感 |
胸水が多くなると、肺の圧迫によって呼吸が困難になり、生活の質(QOL)が大きく低下します。そのため、適切な対応が必要になります。
3. 標準治療が難しくなる理由
ステージ4の子宮頸がんにおいて、一般的に推奨される標準治療には以下のような選択肢があります。
治療法 | 説明 |
---|---|
化学療法(抗がん剤) | シスプラチンやパクリタキセルなどを用いた化学療法が行われますが、がんの進行度や体力によっては副作用が強く出るため、継続が難しくなることがあります。 |
放射線治療 | 骨盤内に限局した場合には放射線治療が有効ですが、遠隔転移がある場合には効果が限定的になります。 |
免疫チェックポイント阻害剤 | 一部の患者様には免疫療法が適応されることもありますが、すべての患者様に有効とは限りません。 |
がん性胸膜炎が進行すると、呼吸困難が悪化し、化学療法や放射線治療が実施困難になるケースも少なくありません。そのため、標準治療の選択肢が限られた患者様に対しては、症状緩和を目的とした治療が優先されることがあります。
4. 胸水への対処方法
胸水が多量に溜まると呼吸が苦しくなるため、以下のような処置が検討されます。
治療法 | 説明 |
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胸腔穿刺(胸水の排出) | 細い針を用いて胸水を抜く処置。即効性があるが、再び胸水が溜まる可能性が高い。 |
胸膜癒着術 | 胸水の再発を防ぐために、薬剤(タルクやミノサイクリンなど)を胸膜に注入し、癒着させる方法。 |
シャント手術 | 胸水を腹腔内へ流すためのシャントを設置する方法。 |
鎮静剤や酸素療法 | 呼吸困難の緩和を目的とした対症療法。 |
患者様の状態に応じて、これらの方法が選択されます。
5. 光免疫療法という選択肢
この治療は、特殊な光感受性物質をがん細胞に集積させ、レーザーを照射することでがん細胞を破壊する方法です。
日本国内でも研究が進められており、標準治療が難しい患者様の選択肢として期待されています。
特徴 |
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がん細胞を選択的に攻撃するため、正常細胞への影響が少ない。 |
体への負担が少ないため、高齢者や体力が低下している患者様にも適用できる可能性がある。 |
他の治療との併用が可能。 |
ステージ4の子宮頸がんでは、がんが進行するにつれて胸水がたまることがあります。
胸水が増えると、息苦しさや咳、胸の圧迫感などの症状が現れ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
光免疫療法はがん細胞に選択的に作用し、周囲の正常組織への影響が少ないという特徴があります。
胸水がある状態でも治療が可能な場合があるため、標準治療が難しい患者様にとって、選択肢となる可能性があります。
特に、手術が困難な場合や、抗がん剤治療の副作用が問題となるケースで検討されます。
ただし、すべての患者様に適用できるわけではなく、病状に応じた慎重な判断が必要です。
適応条件や期待できる効果については、医師と十分に相談し、ご自身の体調や生活の質を考慮しながら治療を選択することが重要です。
当院では、患者様一人ひとりに合った治療方法を提案し、負担を抑えながら光免疫療法を検討することが可能です。
ご不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
以下より当院の光免疫療法に関してご確認頂けます。
6. まとめ
子宮頸がんのステージ4Bにおいて、胸水が発生すると標準治療が困難になることがあります。
胸水はがん性胸膜炎によって生じ、呼吸困難や倦怠感を引き起こすため、症状緩和のための処置が必要になります。
標準治療が難しい場合、治療法として光免疫療法が選択肢となる可能性があります。
患者様一人ひとりの状況に応じた治療方針を検討し、医師と相談しながら最適な選択をすることが大切です。
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【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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