腎がんステージ4と胸水の関係
腎がんがステージ4に進行した場合、がん細胞が他臓器に転移している状態です。
その中で胸膜への転移やリンパ液の流れの障害などにより、胸腔内に液体がたまる「胸水」が生じることがあります。
胸水は呼吸機能を圧迫し、患者様のQOL(生活の質)を大きく低下させる要因となります。
胸水が発生する原因
原因 | 内容 |
---|---|
胸膜への転移 | がん細胞が胸膜に広がることで炎症や浸出液の増加が起こる |
リンパ管の閉塞 | がんによる圧迫でリンパの流れが滞り、胸水が排出されにくくなる |
低アルブミン血症 | 栄養状態の悪化により血管内の水分保持力が低下し、胸水が増える |
胸水によって現れる症状
症状 | 説明 |
---|---|
呼吸困難 | 肺が圧迫されて息苦しさが強くなる |
咳 | 刺激性の咳が続くことがある |
胸の痛み | 胸膜の刺激により痛みが出る場合がある |
倦怠感 | 慢性的な疲労感や体力低下が生じる |
診断のための検査
検査方法 | 目的 |
---|---|
胸部レントゲン | 胸水の量や分布を確認 |
CTスキャン | 詳細な位置や周囲臓器への影響を把握 |
胸水穿刺 | 胸水を採取し、悪性細胞の有無を確認 |
胸水に対する治療法
治療法 | 概要 |
---|---|
胸水ドレナージ | 胸腔内にたまった水を排出して呼吸を改善 |
胸膜癒着術 | 薬剤を使用し、胸膜の癒着を促して胸水の再発を予防 |
分子標的薬 | がん細胞の増殖を抑える薬剤で、全身治療の一環 |
免疫チェックポイント阻害薬 | 患者様の免疫機能を利用してがん細胞と闘う治療 |
標準治療が難しいケースとは
腎がんのステージ4かつ胸水が多量に見られる場合、全身状態の悪化や臓器機能の低下により、標準的な抗がん剤治療や免疫療法が実施困難なことがあります。
また、副作用によるさらなる体調悪化が懸念される場合、治療方針の再検討が必要となることもあります。
光免疫療法という選択肢
標準治療が困難な患者様には、局所的ながん細胞へのアプローチが可能な「光免疫療法」が選択肢となる場合があります。
この治療は、がん細胞に集まる光感受性薬剤を投与した後、近赤外線レーザーを照射することでがん細胞をピンポイントに破壊するものです。
周囲の正常組織への影響が少なく、体への負担も比較的軽いため、胸水を伴う患者様でも導入可能なケースがあります。
ただし、すべての症例に適応されるわけではなく、医師の慎重な判断が必要です。
以下より当院の光免疫療法に関してご確認頂けます。
まとめ
腎がんのステージ4で胸水が見られる状態は、病状が進行しており、日常生活にも支障をきたします。
症状緩和を目的とした局所治療や、患者様の状態に応じた柔軟な対応が求められます。
標準治療が困難な場合でも、胸水の除去や、患者様の体への負担が少ない治療法の一つとして光免疫療法が検討されることがあります。
治療方針は、主治医と十分に相談しながら慎重に決定していくことが大切です。
よく見られてる記事一覧 |
---|
腎がんの腹水(ステージ4 )に関する治療の選択肢 |
腎がんの肝転移(ステージ4 )に関する治療の選択肢 |
腎がんの骨転移(ステージ4 )に関する治療の選択肢 |
腎がんの腹膜播種(ステージ4 )に関する治療の選択肢 |
腎臓がんの原因や症状そして治療法 |

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
医療法人社団良凰会 医師一覧