症状
ステージ3の乳がんの症状は、がんが乳房から隣接組織に進行している段階で、より詳細に説明します。
- 腫れやしこりの進行: 乳がんの初期段階では、乳房内に腫れやしこりが生じる可能性があります。ステージ3に進行すると、これらの腫れやしこりが急速に拡大し、触れると明瞭な増大を感じることがあります。形成された塊はしばしば周囲の組織にも広がります。
- 乳頭からの分泌物の特徴: 乳頭からの分泌物は、ステージ3の乳がんにおいても一般的です。これには血液やその他の異常な分泌物が含まれ、これが継続的に観察される場合は、これががんの症状である可能性が高まります。異常な分泌物は医師に速やかに報告されるべきです。
- 乳房の変形の進行: 乳房の形状の変化は、ステージ3の乳がんでさらに進行します。乳がんが周囲の組織に広がると、乳房の形状が顕著に変わり、しばしば不規則で硬くなることがあります。皮膚の変色やしわは、乳房の表面で視覚的にも確認される可能性があります。
- 痛みの深刻化: ステージ3に進行すると、乳房や乳首の痛みがより強くなることがあります。これは腫れ、神経の刺激、または腫瘍の増大によるものであり、しばしば日常生活に影響を及ぼします。痛みの程度は個人差がありますが、適切な治療が必要です。
これらの症状がステージ3の乳がんにおける典型的なものであり、患者や医師がこれらの変化に注意を払い、早期に医療の専門家と協力することが重要です。
診断
ステージ3の乳がんの診断は、様々な方法を組み合わせて行われます。
- 乳がんの診断:ステージ3の乳がんの診断は、様々な方法を組み合わせて行われます。以下はその一部です。
- 乳房検診:医師や専門家が手で乳房を触診し、異常な腫れやしこりを感じることがあります。触診は初期段階のがんの発見に有益であり、患者が定期的に検診を受けることが推奨されます。
- 乳房画像検査:マンモグラフィや超音波検査など、画像を使用して乳房の内部を詳細に検査します。これにより医師は乳房内の異常や腫瘍の位置、大きさなどを視覚的に確認し、診断に役立てます。
- 生検:異常な領域から組織サンプルを取り、がんの有無とタイプを確認します。生検は最終的な診断の一環であり、特に腫瘍の性質や治療計画の決定に重要です。異常な組織の詳細な解析が行われます。
治療
ステージ3の乳がんの治療は多岐にわたり、患者の個別の状況に応じて選択される複数のアプローチがあります。
以下は、それぞれの治療方法の詳細な説明です。
手術
手術は乳がん治療の中核を成す方法であり、患者の具体的な病変に基づいて慎重に計画されます。
- がん組織の取り除き: 腫瘍が小さい場合、外科医は保留療法としてがん組織を局所的に取り除くことがあります。これにより、腫瘍を制御し、周辺組織への拡散を防ぎます。
- 乳房全体の摘出(乳房切除術): 腫瘍が大きくまたは乳がんが進行している場合、乳房全体を摘出することが必要となります。これは乳がんの進行を防ぎ、再発のリスクを低減する一助となります。手術後には、乳房再建が検討されることもあります。
放射線療法
放射線療法は手術後や腫瘍の位置によって適用され、がん細胞を破壊する目的で高エネルギーの放射線を使用します。
- 手術後の補完療法: 手術で腫瘍を取り除いた後、残ったがん細胞を排除するために放射線療法が行われることがあります。これは再発を防ぐ重要なステップであり、周囲の組織に影響を最小限に抑えるために精密に計画されます。
化学療法
化学療法は全身治療であり、抗がん剤を使用してがん細胞を攻撃します。ステージ3の乳がんに対しても以下のような詳細なアプローチが取られます。
- 手術前のアプローチ: 乳がんが大きい場合、手術前に化学療法が行われ、腫瘍を縮小させ手術の効果を向上させることがあります。
- 再発予防: 手術後には、残存しているがん細胞を排除し、再発を予防するために化学療法が行われることがあります。
ホルモン療法
ホルモン療法はホルモン受容体陽性のがんに特に有効で、がん細胞の成長を制御するために使用されます。
- ホルモン受容体陽性のアプローチ: このタイプの乳がんに対しては、ホルモンのレベルを変化させる薬を用いることがあります。これにより、がん細胞がホルモンに依存しているのを遮断し、再発を防ぎ、治療の効果を向上させます。
光免疫療法
光免疫療法は、特定の薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する治療法です。
薬剤はがん細胞に選択的に集積し、その後特定の波長の光を照射することで、がん細胞を破壊する仕組みとなっています。
この治療法は、副作用が少なく、患者様の負担を軽減することが期待されています。
光免疫療法は、他の治療法と組み合わせて使用されることもあり、相乗効果が期待出来ます。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
これらの治療法は総合的に適用され、患者の健康状態やがんの性質に合わせて個別に調整されます。治療計画は常に患者と医療チームとの協力に基づいて行われ、最良の結果を得るために適切なバランスが求められます。
予後
ステージ3の乳がんの予後には多くの要因が影響します。
以下は、個々の要素に焦点を当てた詳細な予後の説明です。
個人の特徴
- 年齢と性別: 年齢や性別は予後に影響を与える要因です。若い患者や女性の方が一般的に治療への反応が良い傾向があります。
- 一般的な健康状態: 患者の全体的な健康状態や既存の疾患も予後に影響を与えます。他の健康問題がある場合、治療への対応や回復が複雑になる可能性があります。
腫瘍の特徴
腫瘍の大きさと進行度: 腫瘍が大きいほど、周囲の組織に広がる可能性が高まり、治療の難易度が増します。進行度も予後に大きく影響します。
- ホルモン受容体の状態: ホルモン受容体陽性の場合、ホルモン療法が有効で、予後が改善される可能性があります。
- リンパ節の影響: がんがリンパ節に広がると、再発のリスクが高まります。リンパ節への転移の有無や数も予後に影響します。
治療の効果
- 手術の成功: がん組織が完全に取り除かれたかどうかは予後に直結します。手術が成功すれば、再発のリスクが低減します。
- 放射線療法や化学療法の適切な利用: 適切なタイミングで放射線療法や化学療法が行われると、治療の成功が期待できます。これによりがん細胞が残存する可能性が低減し、再発リスクが抑えられます。
フォローアップケア
- 定期的な検査とフォローアップ: 早期の発見と治療後の定期的な検査やフォローアップケアは、再発の早期発見や治療の修正に役立ちます。患者は医師の指示に従い、必要な検査を受けることが重要です。
- 心理的サポート: がんの経験は精神的な影響を与える可能性があります。適切な心理的サポートが提供されると、患者の精神的な健康が向上し、治療への適応が改善します。
ステージ3の乳がんの予後は、これらの要因が複雑に絡み合って決まります。患者と医療チームとの密なコミュニケーションが予後向上に貢献します。
【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
がん治療をお考えの患者様やご家族、知人の方々へ癌に関する情報を掲載しております。
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