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子宮体がん(ステージ4)で肝転移が認められた場合の治療と課題
子宮体がんは、子宮内膜から発生するがんであり、初期段階では子宮に限局していますが、進行すると周囲の組織や他の臓器に転移する可能性があります。
特にステージ4では、がんが骨盤外の臓器、すなわち肺、肝臓、骨などに転移している状態を指し、治療の選択肢が大きく限られてきます。
ステージ4 子宮体がんにおける肝転移の特徴
肝臓は血流が豊富な臓器であり、他の臓器からの転移が生じやすい部位です。
子宮体がんが肝臓に転移する場合、がん細胞は主に血行性に広がっていると考えられます。
肝転移があると、局所治療だけでは効果が期待しづらく、全身的なアプローチが必要となります。
患者様の状態によっては、肝臓に単発で転移している場合と、複数の病変がある場合とで治療方針が異なります。
症状としては、初期には無症状のことが多いものの、進行に伴って腹部の違和感や肝機能異常が現れることがあります。
標準治療の選択肢とその課題
ステージ4の子宮体がんに対する標準治療は、主に以下のような治療が組み合わされて行われます。
化学療法 | シスプラチンやパクリタキセルなどを使用し、全身的にがん細胞を攻撃します。 |
ホルモン療法 | ホルモン感受性がある場合に適応され、エストロゲンの作用を抑える治療です。 |
放射線療法 | 疼痛緩和や局所制御を目的に照射されることがあります。 |
支持療法 | 生活の質を保つための対症療法が含まれます。 |
しかし、肝転移がある場合、化学療法の効果が限定的であったり、副作用により十分な治療継続が困難になることもあります。
また、肝臓は薬物代謝の中心となる臓器であるため、肝機能に影響を及ぼす治療には特別な注意が必要です。
治療が難しい方への対応と新たなアプローチ
標準治療を継続することが困難な方、または治療効果が得られなかった方に対しては、次のような代替的な治療や先進的な取り組みが検討されることがあります。
臨床試験の参加 | 新薬や新たな治療法の臨床試験に参加することで、治療の可能性を広げられる場合があります。 |
免疫療法 | 一部の患者でPD-1阻害剤などの使用が検討されることがありますが、適応は慎重に判断されます。 |
集学的治療 | 複数の治療を組み合わせることでQOLを維持しながらの治療が目指されます。 |
光免疫療法という選択肢
子宮体がんステージ4で肝転移が認められる場合、標準治療の継続が難しくなることがあります。
こうした状況において、治療の選択肢の一つとして検討されるのが「光免疫療法」です。
光免疫療法は、がん細胞に選択的に集まる特殊な薬剤を投与し、その薬剤に特定の波長の光を照射することで、がん細胞のみを破壊する治療法です。
正常な細胞への影響を抑えつつ、狙ったがん細胞をピンポイントで攻撃できるという特徴があります。
また、副作用が比較的少ないため、全身状態が低下している患者様にも適用できる可能性があります。
ただし、すべての症例に適応できるわけではなく、がんの位置や広がりなどを踏まえ、慎重な判断が必要です。
治療の選択肢のひとつとして、主治医と相談しながら検討されることをおすすめします。
以下より、当院で実施している光免疫療法の詳細をご覧いただけます。
まとめ「一人ひとりに合った治療選択を」
子宮体がん(ステージ4)で肝転移が認められた場合、治療の難易度は高く、標準治療だけでは限界があることも少なくありません。
全身状態や治療歴をふまえ、どのような治療が適しているかを総合的に判断し、QOL(生活の質)を大切にした治療方針を選択することが重要です。
もし標準治療に不安がある、もしくは他の選択肢を検討したいという方は、セカンドオピニオンの活用や、光免疫療法などの新しいアプローチも含めて、医療機関と相談することをおすすめします。

【当該記事監修者】癌統括医師 小林賢次
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